任天堂がWiiUの手痛い失敗から得た勝利の方程式

バランスなき理想追求には誰もついてこない

スマートフォンの時代に、ゲーム専用のハードウェアは売れるのか? 任天堂は、アメリカで2012年11月18日に、日本では同年12月8日にWii Uを発売することを発表します。本体価格は、ベーシックモデルで2万6250円、プレミアムモデルが3万1500円。この価格は原価割れの設定です。ハードでは赤字でもソフトで回収する、というモデルでした。

販売目標を、2013年3月末までに550万台、ソフトウェアで2400万本と定め、Wiiの初年度販売台数の584万台、ソフトで2880万本と同等の規模感を実現すべく、Wii Uは発売を迎えたのです。

「ソフトの少ないゲーム機」に

Wii Uは好調なスタートを切ります。日本では発売2日間で約30万9000台を売り上げ、Wiiの2日間で約37万2000台という記録には及ばなかったものの、素晴らしいスタートダッシュで飛び出したのです。

しかし、発売から約2カ月が経過した2013年1月30日、岩田社長は決算発表の場において、任天堂の業績予想を従来予想の200億円の黒字から200億円の赤字に下方修正することを明らかにします。下方修正の理由は、1月に入ってからのWii Uの急激な失速にありました。発売直後こそマニア層がこぞって購入しましたが、検討者層が様子見のまま動かなかったのです。

販売不振の背景は明確でした。それは、ソフト数の少なさです。

任天堂のハード戦略には、ある方程式がありました。それはハードの魅力を十分体験でき、そのハードでしか遊べない「キラーコンテンツ」と呼ばれるソフトを初期段階で売り出すこと。ソフトの注目が高まればハードも売れ、ハードが売れれば外部のソフトメーカーも参入する。魅力的なソフトが増えれば、またハードが売れる……このような循環構造を初期段階で作れるかに勝負がかかっていました。

ちなみに先代のWiiはこのセオリー通りに売れたハードです。「はじめてのWii」や「Wiiスポーツ」といった自社開発ソフトを通じて、Wiiという新しいハードの魅力をユーザーに体感してもらい、「サードパーティ」と呼ばれるソフトメーカーの参入促進に成功したのです。

ところが、Wii Uではこのサイクルを生み出すことに失敗します。初期の自社ソフト「ニンテンドーランド」、「ニュー・スーパーマリオブラザーズ・U」では、Wii Uの魅力を拡散するまでには至りませんでした。

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