コニカミノルタが「自治体DX」に力を込める理由 複合機に逆風が吹く中、新領域に活路見いだす

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プラットフォームの利用者は約2500件の自治体の業務データを比較し、効率化のモデルを探すこともできる。効率化を叶えるサービスを提供するため、他社との提携も進めている。

例えば、ITサービスを手がけるチェンジと提携。同社子会社のトラストバンクが提供するチャットシステムで業務効率化の事例などを調べられるサービスなども導入する予定だ。こうしたパートナー企業は60社に及び、今後も増える見通しだ。

得意とする複合機の技術を生かす

自治体相手の業務が強いわけではないコニカミノルタがなぜこのようなことをするのか。

このサービスを立ち上げた別府幹雄自治体DX推進部長は「以前から自治体向けに品質マネジメントノウハウを生かした事業を展開できるのではと考えていた。ただ、プラットフォームを新規事業に決定した決め手は以前から交流のあった札幌市幹部の一言だった」と振り返る。

「市民サービス向上のために業務の効率化を行いたいが、どこから手をつければいいのかわからない」

こんな相談を市幹部から受け、業務量調査や効率化にコニカミノルタの品質管理ノウハウを生かすことを決めた。2018年に全庁業務調査を開始。人海戦術で業務フローや課題を洗い出した。その後も協力自治体を増やしながら、プラットフォームの具体像を詰めていった。

現在の協力自治体は約80ほど。協力自治体を増やすことでプラットフォームの情報量や質を高めていった(コニカミノルタ提供資料から引用)

ここで、コニカミノルタが得意とする複合機の技術が役立った。複合機のような精密機器は品質を一定に保つことが難しく、品質スコアの微小な異常値から異常の原因や課題を析出し、改善につなげる。

こうした手法を自治体の業務分析に応用。同じやり方で複数の自治体の同一業務を分析した。まずは異常値、すなわち自治体ごとに異なる業務フローがある箇所を検出する。異なる業務パターンが生じる原因を特定することで効率的な業務フローに標準化できるのだという。

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