キヤノン、「祖業のデジカメ」大苦戦の根本原因 初の四半期赤字転落、響くミラーレスの出遅れ

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カメラの販売不振などが響き、キヤノンは四半期として初めて最終赤字に転落した(撮影:尾形文繁)

キヤノンが四半期として初めて最終赤字に転落した――。

2020年7月末に発表された同社の2020年4~6月期決算は88億円の純損失を計上した。キヤノンは優良企業の代名詞として知られていたが、その苦境ぶりを示す決算となった。

赤字の主因は主に2つ。1つは売上高の約半分を占める複合機などオフィス向け事業の苦戦だ。新型コロナウイルスの影響で複合機の稼働率や販売が落ち込んだ。もう1つはキヤノンの祖業であるカメラの販売不振だ。

スマホ普及とコロナが打撃に

カメラ映像機器工業会がとりまとめた2020年4~6月のデジタルカメラ出荷数量は、前年同期比65.3%減の約143万台に落ち込んだ。手軽に写真を撮れるスマートフォンの普及により、デジカメ市場は2010年をピークに縮小の一途をたどっている。2019年の市場規模は2010年比で約8分の1の規模だ。そこを新型コロナが直撃した。

「本当に激しい落ち込みで、販売活動や購買活動も停止して、(販売は)どん底だった」。キヤノンでデジカメ事業を手がけるイメージコミュニケーション事業本部長の戸倉剛常務執行役員はそう振り返る。キヤノンは製品別の損益を開示していないが、「デジカメ事業単体だけみると大赤字」(業界アナリスト)だったとみられる。

新型コロナの影響でどん底に落ちていたデジカメ市場について、戸倉氏は「(縮小していく)デジカメ市場の将来(の底)を下回った状態だった」と分析する。しかし、7月以降はデジカメの出荷台数も緩やかな回復基調に入った。

デジカメ市場で長らくトップシェアを誇っているキヤノンを悩ませたのは、ソニーの躍進に代表されるミラーレスカメラへの対応だった。縮小続きのデジカメ市場にあって、この数年ミラーレスカメラだけは唯一成長した。新型コロナで2020年の出荷台数は落ち込んだが、その落ち込み幅は、半減した一眼レフに比べ、ミラ-レスは3割減にとどまった(2020年1~10月の出荷台数)。

東洋経済プラスの連載「カメラは生き残るか」で、この記事の続きを無料でお読みいただけます。連載ではソニーやキヤノンの動向に関する記事も配信しています。
ニコン、巨額赤字で迎える正念場
カメラ市場の「破壊者」ソニー
キヤノン、「ソニー追撃」の成否
キーマンインタビュー/キヤノン「カメラはIoTの目になる」
キーマンインタビュー/ニコン「当面はミラーレス集中、勝負はこれからだ」
大竹 麗子 東洋経済 記者

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おおたけ・れいこ

1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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