自動車業界の業績は回復基調に入ったが、収益の本格改善はこれからが正念場《スタンダード&プアーズの業界展望》


 一方、中国、インド、ブラジルなどの新興国市場では、短期的には需要の変動リスクがあるものの、中長期的に需要が伸びるとみている。中国の自動車販売台数は、09年に1360万台に達し、米国を抜いて世界最大の自動車市場になった。先進国市場の需要の戻りが遅いこともあって、日本メーカーのみならず、世界の自動車メーカーにとっても、新興国市場の収益面での重要性は急速に高まってきている。

しかし、たとえば中国市場については、これまでの市場開拓への取り組みに差があるほか、ここ数か月は賃上げをめぐる部品工場などの従業員のストライキが発生し、自動車の現地生産が一時的にストップする事態も起きており、新たな問題も生まれている。

日本の自動車メーカー、本格的な収益性の回復は遠い

09年4~9月期で底を打った日本の自動車メーカーの業績は、10年3月期に減収ながら黒字を回復し、フリーキャッシュフローもプラスに大きく改善した。ただ、この業績回復は大幅な固定費削減と販売金融事業の利益改善が寄与したためで、自動車の実需はそれほど貢献しなかった。その意味で、回復傾向が続くとはいえ、11年3月期の業績の内容には注意を払う必要があるだろう。

各社が固定費を含むコスト・経費削減を相当進めたことで、11年3月期以降のコスト・経費の削減余地が一段と小さくなっている。日本の自動車メーカーが業績の回復歩調を一段と確実にし、本格的な収益性の回復を図るには、販売の着実な回復が不可欠と考えている。

日本の国内市場は、昨年の導入開始以来、需要を下支えてきたエコカーの買い替え・購入補助金制度が10年9月に終了する予定であることから、その後の需要動向には不透明感がある。また、米国や西欧などと同様、余剰供給能力の問題を長年抱えているのに、国内乗用車メーカーだけでも技術力・商品力で定評のある8社がひしめき合い、今後も極めて熾烈な競争が続くと予想される。

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