自動車業界の業績は回復基調に入ったが、収益の本格改善はこれからが正念場《スタンダード&プアーズの業界展望》


 同社の自動車等事業(金融事業を除く)における10年3月期末の現金・現金同等物は1兆3388億円と、短期借入債務と1年以内に返済予定の長期借入債務の合計8653億円を大きく上回る。加えて、流動資産に含まれる有価証券は1年間で1兆2891億円増加し、1兆7836億円に達している。

その大部分は流動性と信用力の高い国債等をはじめとする質の高い金融資産で占められている、とスタンダード&プアーズは理解しており、同社の流動性と資本・負債構成の強みをさらに補強すると考えている。

08年から09年にかけて、スタンダード&プアーズが自動車業界全体での格下げやアウトルックの相次ぐ下方修正を行ったあとも、日本の自動車業界の上位各社は世界的にも高い信用力を維持している。日本の上位各社は燃費に優れる小型車やハイブリット車の品揃えや技術力で強みを維持しており、地理的分散やコスト低減においても、全般的に欧米の競合他社よりも進んでいるとみていることが背景にある。

とはいえ、スタンダード&プアーズは、日本の自動車メーカーの信用力が短期的に大きく改善するとはみていない。同業他社と比較して、業績の落ち込みが小さく、その後の回復も比較的順調なホンダであっても、収益性の本格回復への見通しが明確にならなければ、短期的に格上げされる可能性は限定的にとどまるだろう。

高い成長が期待される新興国市場での取り組みの差や、需要回復が緩やかな先進国市場でも安定した販売を維持できる商品力や販売力の差が、今後数年の間で、各社の業績や信用力の格差を広げる可能性もあるとみている。

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