「4歳で性変更可」スコットランドLGBT教育の衝撃

学校での性別や名前を親の同意なく変えられる

一方、スコットランド自治政府のシャーリー・アン・サマービル教育長官は、「このガイドラインはすべての生徒の権利が完全に尊重されることを保証しながら、学校がトランスジェンダーの若者をどのように支援できるか、その実践的な提案している。ジェンダーの移行を促進しようというものではない」と説明している。

またガイドラインには「不注意なトランスジェンダーの開示は、若者に不必要なストレスを引き起こしたり、若者を危険にさらしたり、法的要件に違反したりする可能性があるので、子どもの見解や権利を考慮し、親や保護者と情報共有しないのが最善」と記されている。

サマービル教育長官は「トランスジェンダーの若者は学校で多くの問題に直面する可能性があり、教師とスタッフは精神的、肉体的、感情的な健康をサポートする自信とスキルを持っている必要がある」という。そこに今回、インクルーシブ教育を包括的に学校カリキュラムに組み込み、教師や学校スタッフに豊富な情報を提供することが加わった形だ。

自分の性別が異なると認識する子は増加

ガイドラインは、スコットランドの新学期に先立って、ヴァージン・グループの創業者として知られるビジネスマン、リチャード・ブランソンの長女ホリー氏(39)が、4歳から10歳まで少年として生きていたことを明らかにした数週間後に発表された。

ホリー氏は過去を振り返り、自分の後に生まれた弟が親から愛される姿を見て、自分も男の子になりたいと思って男子の服装をすることにし、男子の排尿スタイルを真似ていたことを明かしている。ただ、それは10歳でやめて女の子であることを受け入れたという。

イギリスのタブロイド紙、デイリー・メールによると、ホリー氏のような自分の性別が異なると認識する子どもが増えている。ロンドンのジェンダークリニック、Gender Identity Development Serviceに紹介されてきた若者の数は、2010~2011年で138人だったのが、2019~2020年には2748人に急増したという。

多くの専門家は、子どもが何年にもわたって自分の中に異なる性を認識している場合、それはトランスジェンダーである兆候だと考えている。しかし、多くのトランスジェンダー患者を治療してきた心理療法士のボブ・ウィザーズ氏は「現在、この問題に関する13の研究によると、そうした子どもたちの約80%は治療しなくても生物学的な性別に戻ることがわかっている」と指摘している。

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