「4歳で性変更可」スコットランドLGBT教育の衝撃 学校での性別や名前を親の同意なく変えられる

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イタリア中部の山岳地にある小国、サンマリノで9月26日、妊娠中絶の合法化の是非を問う国民投票が実施され、賛成が77.3%となったことを受け、政府は今後、法制化に取り組むことになった。

アイルランドでは、2015年に実施された国民投票で同性婚合法化賛成が過半数を超え、合法化した。

フランスは2013年に同性婚、および同性カップルの養子縁組合法化を決定、イタリアでも2016年に同性カップルに結婚に準じた権利を認める「シビル・ユニオン」法が議会で可決成立している。これに先立ち、スペインでは2006年に同性婚合法化が認められている。いずれの国も歴史的にローマ・カトリックが強い影響力を行使してきた国々だ。

ローマ・カトリックのLGBTに対する公式のスタンスは、その存在は認め、差別や排除ではなく寄り添うことを重視している。ただ教義としては罪の領域に挙げ、バチカンは「同性婚は祝福できない」との公式見解を出している。人道主義者の教皇フランシスコ1世もこの声明に署名している。無論、同性愛者のカトリック信者グループ、New Ways Ministryなども存在し、同グループのフランシス・デバーナード会長は、教皇庁の声明について「驚くものではないが、失望した」と述べている。

一方、イギリスでは英国国教会(アングリカン・チャーチ)が主流なのに対して、9月から正式に学校カリキュラムにLGBTインクルーシブ教育を導入したスコットランドには、スコットランド国教会が存在する。今は先進国に国教という考えはないが、影響力を持ってきた。第2勢力はローマ・カトリックだ。いずれもキリスト教の価値観を厳格に守ることが優先され、逆にいえばLGBTの人々を生きにくくしてきた。

弱まる教会の影響力

21世紀に入ってからの新たな事態をわかりやすく解説すれば、妊娠中絶や同性婚、LGBT支援を支える人権思想が、宗教的戒律を上回っているということだ。それは皮肉にも人間1人1人は神にとってかけがえのない存在とする基本的人権思想を生んだキリスト教の戒律を否定している。

背景の1つは信仰者の激減が挙げられる。2018年に発表されたブリティッシュ・ソーシャル・アティテューズの調査で、自分がイギリス国教会に属していると名乗るイギリス人の割合が記録的低水準となり、過半数が自分は無宗教としていることが明らかになった。その調査でスコットランド国教会信者と自認するスコットランド人の割合も、2002年の調査の時に31%だったのが18%に低下している。

フランスでは何と教会に通うカトリック信者が20世紀末の調査で16%しかなく、今ではそもそも神を信じない人が国民の7割に達しているという数字もある。つまり、ヨーロッパでは教会の影響力が弱まり、その厳しい教義への反動が、妊娠中絶や同性婚合法化、LGBT擁護の政治的動きに拍車をかけているといえる。

安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)

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あべ まさのぶ / Masanobu Abe

パリを拠点にする国際ジャーナリスト。取材国は30か国を超える。日本で編集者、記者を経て渡仏。創立時の仏レンヌ大学大学院日仏経営センター顧問・講師。レンヌ国際ビジネススクールの講師を長年務め、異文化理解を講じる。日産、NECなど日系200社以上でグローバル人材育成を担当。

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