BMW X7「西陣織仕様」芸術性という高級車の価値 究極の職人技を市販車に搭載する小さくない意味

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西陣織アームレスト(撮影:尾形 文繁)

今回、3台のためだけに作られた西陣織アームレストは、皮革を約1mm幅に裁断して絹糸で織るという、特別な技法を用いている。この皮革の素材に、もともとBMWがアームレストに使っているメリノ・レザーを用いることで、難燃性などの問題をクリアしているのだ。

西陣織ならではの美しさは、裁断する前の皮革表面にあらかじめ金銀の箔を押しておくことにより生まれる。これによって、通常の織物では作れない微細な表現が可能になるのだという。

「皮革を西陣織に取り入れて、これまでにない分野に挑戦する試みは7年ほど前からスタートさせたものです。自動車の内装は耐久性・難燃性などの要求が最も厳しい分野で、もちろんシート地に使うことにも挑戦していますが、まずインテリアの一部に使っていただけたのは大きな進歩です」

これほどの技術はすべてがそろわないと実現できない

そう語るのは今回アームレスト装飾を供給する株式会社加納幸の加納大督・代表取締役だ。「メゾンと呼ばれるような最高級の服飾ブランドも海外から視察に来て、『この皮革の織物は素晴らしいけど、高いね。もう少しコストは下がらないの?』とよく聞かれますが、断っています。これほどの技術は、箔屋がいて、機があって、職人がいて、裁断できて、とすべてがそろわないと実現できないからです」

ダッシュボード上に輝くインスツルメント・パネル・トリムも含め、金銀に光る箔押しは、西陣の箔屋・楽芸工房が手掛けた。顔料の塗装と箔押しを繰り返す「五色金重ね」により、平面でありながら立体的な表情を楽しむことができる。それらの配色は、アルミフレークとマイカをブレンドして、角度によって色の見え方が変化する「アメトリン」というBMW Individual専用のボディカラーとも呼応させているという。

通常のBMWのインスツルメント・パネル・トリムでは、暗色系のウッドパネルやピアノブラック、金属系の素材しか選べない中で、きらびやかでポップでもある西陣のインテリアには、大型BMWが醸し出す威圧感を和らげる効果も期待できる。

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