アルピナB5とB7に見た高性能と快適の異次元両立 ゆったりした高級車ながら恐ろしく速く鋭く走る
特別な人々に向けて特別なクルマを作ることを旨としてきたBMWアルピナだが、最近は顧客や報道陣に対するコミュニケーションをごく限定された範囲から、徐々に拡大しようとしている。その背景として、日本においてXモデルの販売比率が5割近くに伸びたこと、世界販売台数が年間約1600台まで増えて、昔に比べれば供給能力に余裕ができたことが挙げられる。先鋭的なマニアばかりでなく、より一般的な人たちへの周知活動も有効とみなしたのだろう。
そんな彼らのインポーターであるニコル・オートモビルズが、軽井沢で試乗会を実施したので参加してきた。そこに並んでいたのは「B5リムジン アルラッド」と「B7ロング アルラッド」。BMWアルピナの中でもフラッグシップというべきモデルたちだ。現在、販売台数の面ではBMW 3シリーズをベースとする「B3」や「D3」が人気だが、彼らはもともと大排気量ガソリンエンジンを搭載する大型セダンでコンプリートカーづくりに踏み出した。つまり今回、彼らは「本丸」の実力を試してきたことになる。
B5_世界最高峰のドライバーズサルーン
アルピナ・ブルーに包まれたフォーマルなルックス。そしてミルテウッドに彩られたインテリア。どこに出しても恥ずかしくない世界の高級ドライバーズサルーンの最高峰だ。そうでありながらB5は、走らせてみればきわめてパワフルで、スポーツカー的であった。
621馬力と800Nmを発揮する4.4リッターの心臓は、V8ならではのビートで楽しませる。クリーンながらも底辺でV8の素性を感じさせるドロドロとしたサウンドと音圧には、本当の本物だけが備える迫力がある。最大トルクの800Nmは2000〜5000rpmの幅広い領域で発生されているはずだが、高回転域に行くにつれパワーを強調するタイプであると感じさせてくれる。
ドイツの名門サプライヤーであるZF製の8速ATは、実にシャープな変速を実行し、迫力あるエンジンとあわせて、このクルマのマッシブな存在感の醸成に役立っている。
軽井沢の街を越えた先は100カ所以上のコーナーからなる碓氷峠だ。十分軽いがつねにしっかりとした手応えを、緑と青のステッチが施されたステアリングが伝えてくる。強大なトルクに背中を押されて、足取りは自然に速まってしまう。
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