三宅:それは、さぞかし、ハードワークだったことだとお察しします……。
佐藤:すごく大変でした。当時、私は育児休暇から復帰したばかりだったので、どんなに遅くても夜の8時から9時くらいには帰宅するようにしていましたが、切羽詰まってきたときはシステム会社のSEさんとひざ詰めで、夜遅くまでシステムロジックを修正したこともあります。
家庭のマネジメントと部下のマネジメント
三宅:ワーキングマザーは、育休明けはとにかく大変だという声を聞きますが、都内で保育園を見つけて職場復帰するのは大変だったのではないですか?
佐藤:私の住んでいる地域は保育園事情が充実していて、遅くまで預かってくれる夜間保育もあり、夕食も提供してもらえたので非常に助かりましたね。迎えも夫がかなり協力してくれましたので、家族の支援もありました。
三宅:旦那さまは早く帰れるお仕事なのですか。
佐藤:夫の仕事は比較的融通がきくので、とても助かりました。家のことも随分やってくれたおかげで、私は仕事を続けられたようなものです。料理も好きでよく作ってくれますし、いまだにうちの子はおなかがすくと、夫に「ごはん作って」って言いますね(笑)。
念のために申し上げておきますが、私も料理はできますよ。でも最初にお話したとおりやってくれる人がいるなら、「どうぞどうぞ」と喜んで譲る(笑)。
三宅:すばらしい家庭内マネジメントですね(笑)。そして、育休明けに頑張って開発した商品が、世に出たらヒット商品になったのですね。
佐藤:そうですね。実は、売り出した当初は爆発的に売れたという感じではありませんでしたが、徐々にマーケットに浸透していきました。「超ビジネス保険」というネーミングの効果もあったのかと思います。当時、当社では「超保険」という個人向けの生保・損保を一体化した保険を大々的に売り出していて、それのビジネス版ということで、販売代理店さんにも受け入れられやすかったのだと思います。この仕事をやりきったことは、その後、いろいろな仕事に挑戦するうえでも大きな自信になりました。
三宅:そして次に保険金の支払い部門に異動になったとのことですが、当時の部下の方からは、「自分がミスをしてお客様を怒らせてしまったときに、代わりに佐藤さんが仙台まで謝罪に行ってくれた」と伺ったことがあります。
佐藤:当時は課長代理でしたから、職務上、上役として謝罪に行くことも、たびたびありました。お客様は怒っていらっしゃいますから、話をまとめるのは簡単ではありません。お客様が怒っていらっしゃるポイントを見極めつつ、ひとつずつ丁寧にお話しをしてご説明をし、ご理解を得るしかないのです。
三宅:そういうとき、トラブルを起こした部下の方には黙って行って解決してくるのですか?
佐藤:いえ、それはないです。それではお客様を怒らせた部下のためにならないので。なぜ私が行かなければならなくなったのか、お客様が怒っていらした真因は何か、どういう解決をしたのか、などは本人にも伝えるようにしています。
三宅:なるほど。人材育成のためには、厳しいことも言わなくてはなりませんね。そういったコミュニケーションを通じて、信頼関係を築いていけるものなのだと思います。僕は佐藤さんのマネジメントスタイルにすごく関心があるので、次回は、その後、さらに進化していった佐藤さんのマネジメントについて、詳しくお聞きしたいと思います。
(構成:長山清子、撮影:吉野純治)
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