河野氏の「年金改革案」に他候補がいら立つ理由 自民総裁選の政策論争の争点に浮上(前編)

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総裁選で河野氏支持に回った小泉進次郎環境相は、かつて自民党政調会・厚生労働部会長として現在の年金改革案に深く関わった人物だ。河野氏の持つ「改革派」「世代交代」といった立ち位置を重視していると見られるが、年金改革をめぐっては今後、河野氏とどうすり合わせていくのか、あるいは政策の不一致が後々尾を引くことになるのかが注目される。

河野案はかつての民主党案と類似

河野氏は2008年12月に当時の民主党議員らと「いまこそ、年金制度の抜本改革を。 ―超党派による年金制度改革に関する提言―」を公表した。民主党が年金の抜本改革などを争点にした衆議院選挙で自民党を倒し、政権を獲得する9カ月前のことだった。その後、民主党政権は同提言に沿って、消費税財源による月7万円の最低保障年金(現在の基礎年金は満額月6.5万円)創設を検討したが、それには7〜8%の消費増税が必要との試算が出て、負担増への嫌気から改革案は雲散霧消した。

河野太郎氏の年金改革案は、2010年前後に当時の民主党が出した改革案と似ている

今回の河野案は、こうした提言での改革案や民主党案と非常に似ている。改革の内容について異論が強い点も、他候補者が河野案と距離を置く理由だ。総裁選は絶好の政策論争の機会でもある。次回の後編では、河野案の問題点を整理するとともに、その主張を前向きに捉え、そこから今後の政策議論に何が生かせるかという視点で考えていく。

 
野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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