中国恒大危機は08年リーマン型?1998年LTCM型? 23日の社債の利払い控え重大局面を迎える
極めて重大な局面が訪れる恐れがある。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)をはじめ複数の中央銀行による政策会合が開かれるが、そのどれもが中国恒大集団の危機的状況で脇に追いやられている。そこで重要な疑問が浮かぶ。これはリーマン・ショック当時に指摘されたミンスキー・モーメントになるのか。それともロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)的な局面になるのか。あるいはどちらでもなく、さほど重大な事態にはならないのか。
中国恒大の流動性危機、今週重大局面に-23日の社債利払い履行が焦点
経済学者ハイマン・ミンスキーの名が付けられたミンスキー・モーメントは、長期間続いた投機の結果として信用が失われる現象で、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻が最も有名な例とされる。一方のLTCMは1998年に破綻したヘッジファンドで、これも長期にわたる過剰投機の結果、突然信用が収縮した。両者の違いは当局の対応にある。LTCM破綻後の米連邦準備制度理事会(FRB)は債権者を集めて救済措置をまとめ上げた上で、政策金利の引き下げに踏み切った。一方のリーマン・ショックでは、行き過ぎたモラルハザードというLTCMの反省から、政府は救済しないことを決定。その結果、史上最悪の世界金融危機と言える状況に陥った。
明確なコンセンサス
この数週間に集まった各社のリサーチでは、明確なコンセンサスがある。中国恒大集団は中国市場にミンスキー・モーメントをもたらすほどの大きな問題だ。しかし問題への対応はリーマン型よりもLTCM型に近いことを、想定しておいた方がよい。つまり短期的に市場は悲惨な状態に陥る恐れがあるが、手に負えないような崩壊には至らない。言い換えれば23年前にアラン・グリーンスパン氏が犯した過ちが、中国当局によって繰り返されるリスクも示唆する。再び有害な投機熱の環境を作り出してしまう過ちだ。