国鉄型の終焉近い?JR貨物「電気機関車」の今後 EF510形が九州に、EH200形が中央西線に進出か

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JR貨物は2021年3月31日に発表した「2021年度事業計画」において、九州地区のED76形、EF81形を置き換えるためにEF510形を導入する計画で、2021年度にEF510形を九州用に仕様変更して試験走行を行うことを明らかにした。

このことからEH500形の運用範囲を日本海縦貫線に拡げることでEF510形を捻出し、九州用に仕様変更して試験を行うことが考えられる。

EH500形試運転を行ったもうひとつの路線である上越線は、清水峠を越える山岳路線であり、現在はEH200形が使用されている。

EH200形は上越線、中央東線(塩尻以東)で運用していたEF64形の重連を置き換えるために2001年に登場。現在、高崎機関区に25両が配置されていて、両線のEF64形を置き換えた。

JR貨物のEH200形(写真:IK/PIXTA)

一方中央西線を担当する愛知機関区のEF64形については引き続き運用されてきた。実は中央西線を管轄するJR東海は今までEH級電気機関車の入線を認めていなかった。しかし、EH200形が愛知機関区に運ばれたので、今回何らかの話し合いがあったと推察される。

EH200形は山岳路線で運用するため、1時間定格出力を4520kWとしているのに対し、EH500形は交流区間で4000kW、直流区間で3400kWと低めに設定している。これはEH500形の牽引力の適正化と変電所容量のバランスを図っているためで、実際にはEH200形と同じ出力を発揮させることは可能だ。

そこでEH200形の運用の一部をEH500形に置き換えることで、EH200形を愛知機関区配置のEF64形の置き換えに充当することを検討していると思われる。ただし、今回EH200形は愛知機関区内の試走にとどまり、本線での試運転は行われなかった。

EH200形が中央西線に進出すると、EF64形の重連運用をEH200形に置き換えられることが予想される。愛知機関区のEF64形は中央西線や伯備線での単機運用もあるが、こちらはEF210形でも置き換えが可能ではないかと考えられる。

国鉄型電気機関車の終焉は近い?

現在平坦線区向けの国鉄型電機機関車EF65形、EF66形はEF210形への置き換えが進んでいる。今回のEH500形、EH200形の動きは、山岳向けEF64形、九州地区のED76形、EF81形の置き換えの可能性を示したものといえるだろう。

ディーゼル機関車については2021年3月のダイヤ改正でDD51形が引退し、DE10形、DE11形については本線・入換兼用のDD200形と入換専用ハイブリッド車のHD300形への置き換えが進んでおり、国鉄型ディーゼル機関車は風前の灯火だ。

これに続いて国鉄型電機機関車の引退も現実味を帯びてくるかもしれない。

松沼 猛 『鉄おも!』編集長

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まつぬま たける / Takeru Matsunuma

大阪府出身。明治大学文学部卒。株式会社三栄書房に20年間在籍し、編集者として世界各地を飛び回った。2008年12月から『鉄道のテクノロジー』編集長を務めた後、2013年5月に独立。現在は『鉄おも!』編集長のほか、『鉄道ジャーナル』『ニューモデルマガジンX』『カーグッズマガジン』、鉄道、自動車関連ムックなどに執筆。

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