「緊急自動ブレーキ義務化」さらに強化の意味 11月からスタートだが早くも対象拡大が決定

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スバル「レヴォーグ」での対向車検知イメージ(写真:SUBARU)

11月から登場する新型乗用車に、新たな保安基準が適用される。それが「衝突被害軽減ブレーキの義務化」だ。

衝突被害軽減ブレーキとは、プリクラッシュセーフティブレーキやAEBSなどとも呼ばれるもので、車両や歩行者などとの衝突の可能性が検知されると、ドライバーに警報を発した後に自動でブレーキを作動させるシステムだ。

メーカーによってシステムは「Toyota Safety Sense」「Honda SENSING」「アイサイト」などと名付けられている。

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そうした衝突被害軽減ブレーキを義務化する道路運送車両法の改正が、昨年(2020年)1月31日に公布・施行されている。適用は、国産車の新型車が2021年11月より、輸入車の新型車は2024年7月より、国産車の継続生産車が2025年12月(軽トラックは2027年9月)、輸入車の継続生産車が2026年7月となる。

ちなみに、ヨーロッパにおける同様の義務化は2024年7月であり、日本での義務化導入は世界に先駆けたものとなる。

停止車両、走行車両、歩行者に自転車も加わる

今回、義務化される衝突被害軽減ブレーキの具体的な規定は、「静止車両に対して、時速40kmで向かっていったときに衝突しないこと」「時速20kmで走行する車両に対して、時速60kmで走行中に衝突しないこと」「時速5kmで道を横断する6歳児相当のダミー(身長115㎝)に時速30kmで向かっていって衝突しないこと」というもの。

同時に、「エンジン始動のたびに、システムが再起動してスタンバイする」「緊急制動の0.8秒前に警報する」ことも求められる。

また、11月からの適用では、「停止車両」「走行車両」「歩行者」が対象であったが、この9月にさらなる改正が予定されており、そこで「自転車」も対象に加わることになった。

スバル「アイサイト」の歩行者・自転車検知イメージ(写真:SUBARU)

適用は、国産車の新型車は2024年7月、輸入車の新型車が2024年7月、国産の継続生産車が2026年7月(軽トラックが2027年9月)、輸入車の継続生産車が2026年7月だ。

つまり、2021年11月の国産新型車を皮切りに、輸入車の新型車、国産の継続生産車、そして輸入車の継続生産車と続き、2026年7月までに、すべての新車が衝突被害軽減ブレーキを備えることになる。すべてが切り替わるのが5年後、というわけだ。

「衝突被害軽減ブレーキの義務化」と聞くと、大ごとのように思えるかもしれない。しかし、実情は少々異なる。実際のところ、日本市場に大局での影響は少ない。なぜなら、日本ではすでに衝突被害軽減ブレーキが普及しているからだ。

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