ついにパナ復帰「CEATEC」8年ぶり電機8社揃う訳 各社の業績不振など紆余曲折を経て再興

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CEATEC 2021 ONLINEでは、昨年同様、独自のオンラインプラットフォームを開発し、その上で開催している。これは珍しい取り組みであり、IT/エレクトロニクス業界の業界団体が主催するイベントならではのものといえるだろう。

一定の投資が必要ではあるものの、そこは「餅は餅屋」である。自らの要望を反映した改善が行いやすいというメリットを生んでいる。

主催者からは、昨年の反省を生かしたいくつかの改善点がすでに明らかにされている。昨年のシーテックでは、オンライン上で、出展者と来場者がチャットで会話ができる機能を用意したが、残念ながら、これがほとんど使用されなかった。

出展企業は製品や技術に詳しいエンジニアや海外からの来場者に対応するために英語が話せる社員を、開催期間中に待機させていたが、それを効果的に活用できなかったことは、大きな課題となった。その要因は、ビジネスシーンでのチャット機能に来場者が慣れていないこと、テキストの入力が面倒に感じたこと、そして、チャット機能の位置がわかりにくかったことだった。

リアル会場のよさをオンラインにも反映させる

今年のシーテックでは、画面構成をシンプルにするとともに、テキストによるやりとりだけでなく、ビデオチャットの機能を追加。さらに、登録時に来場者の同意を得て、出展企業のビジネスマッチングに参加したいという意思を示すことができ、興味のある分野が合致した来場者には、出展企業からアプローチできる仕組みも用意した。

「昨年の仕組みでは、来場者から声がかかるのをただ待っているだけだったが、今年はリアルの展示会場のように、出展者がプロアクティブに来場者にアプローチすることで、両者の接点を増やすことができる」という。

そのほかにも、リアルの会場では、多くの人が集まっているブースがわかり、そこに展示物を見に行くのと同じように、オンライン上でも混んでいるブースがわかるような仕掛けを導入したり、講演中にはアイコンを使用して聴講者が反応したり、意思表示をしたりできるようにし、盛り上がりを知ることができるようになる。リアル会場のよさをオンライン会場に反映させる改善ともいえ、こうした工夫は随時取り入れている。

8年ぶりに電機大手8社がそろうシーテック。はたして、どれだけの成果を残せるか。

大河原 克行 ジャーナリスト

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おおかわら かつゆき

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆している。現在、ZDNetの「大河原克行のエンプラ徒然」(朝日インタラクティブ)、PC Watchの「パソコン業界東奔西走」(Impress Watch)、クラウドWatch、家電Watch(以上、Impress Watch)、ASCII.jp (KADOKAWA)、日経トレンディネット(日経BP社)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)、「図解 ビッグデータ早わかり 」(中経出版)など。

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