ついにパナ復帰「CEATEC」8年ぶり電機8社揃う訳 各社の業績不振など紆余曲折を経て再興

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パナソニックは2年前、「対象となる顧客が明確な展示会に優先して出展するため」ということを理由に出展を取りやめた。Society 5.0の総合展として、さまざまな業種の企業が出展、来場したシーテックは、「対象となる顧客が明確ではないイベント」と判断したのだ。

確かに、2019年に幕張メッセで開催されたCEATEC 2019では、ANAホールディングスや三井住友フィナンシャルグループ、LIXIL、大阪ガス、大林組、関西電力、清水建設、JapanTaxi、大成建設、大日本印刷、戸田建設、竹中工務店など、多くの異業種企業が出展し、展示会場の中央に、各社が大きなブースを構えていた。

だが、完全オンライン開催となった昨年の「CEATEC 2020 ONLINE」では、異業種の出展が大幅に減少。いみじくも、パナソニックが打ち出していた「対象となる顧客が明確な展示会」に合致する展示会に、シーテックが戻ったともいえる。

今年も、戸田建設や竹中工務店、三菱ふそうトラック・バスといった異業種からの出展はあるが、依然ほどの勢いはない。その一方で、オンラインと親和性が高いIT企業の出展が増加しており、IT/エレクトロニクス業界の企業が目立っている。

現時点では、全体で約200社の出展企業が公表されているが、最終的には約300社の出展が見込まれており、ほぼ前年並みの規模となりそう。2016年にSociety 5.0の総合展に転換して6年目。それ以降では、初めて電機大手8社がそろい踏みとなった「CEATEC 2021 ONLINE」は、新たなスタートラインに立ったともいえそうだ。

リアルとのハイブリッド開催を模索したが断念

CEATEC 2021 ONLINEは当初、オンラインと幕張メッセ会場のハイブリッド開催を模索していたが、2021年6月時点で、会場でのリアル開催を断念。2年連続で完全オンラインでの開催とした。

シーテック実施協議会のエグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「昨年、オンライン開催を経験した出展者や来場者からは、『できればリアルで出展したい』『やはり、実際の展示を見たい』という声が出ていた。今年前半までは、リアル会場での開催の可能性を模索してきたが、感染状況が落ち着かないことや、1日あたり3万人以上が訪れる会場において、安心しながら出展したり、来場したりしてもらえる環境がつくることができないと判断した」とする。

新型コロナウイルス感染症に関する企業の行動ガイドラインなどが、リアルの展示会への参加を見送るように社員に徹底しているケースが、想像以上に多かったことも考慮したという。

こうした中、昨年の経験を踏まえながら、オンラインならでは強みを生かした展示会へと注力する取り組みが始まっている。

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