台湾の在日本代表に対する情報工作に中国の影

日本の自民党総裁選・総選挙による変化を好機と見たか

ちなみに、現在のアメリカ駐日臨時代理大使のレイモンド・グリーン氏は、前任がアメリカ在台協会(AIT)台北事務所副所長であり、妻の柯雅文氏は台湾系である。

一方、中国側から見れば、知日派の王毅氏が外交部長(外務大臣)に就任していることからも、台湾問題で主導権を握るには、関係悪化が著しいアメリカと交渉するよりも日本と進めたほうが有利なのは間違いない。しかし、冷え切った状況を打破する道筋すら見いだせないのは、日本との関係を深めた謝代表の存在も影響しているとみられる。

深化する日台友好関係にくさびを打つ

しかし、自民党総裁選とその後の衆議院議員総選挙で、日本の外交方針が変わる可能性もあるのではないかと、中国側が推察したことが考えられる。台湾からすれば日本政治の流動性が高まれば高まるほど、謝代表の存在は貴重になる。一方で、中国側に何らかの意図があったと仮定すれば、日台関係にくさびを打ち込むのに、このタイミングを選んだとしても不思議はない。

ところで、台湾の人々が謝代表の親心に共鳴し、條子鴿氏の虚偽に憤っただけではなかった。3年前の2018年9月4日は、台風21号が甚大な被害をもたらし、関西空港で多くの人々が孤立。退避に当たってはさまざまな偽情報が飛び交ったのだった。

その渦中で、当時台北駐大阪経済文化弁事処(領事館に相当)の蘇啓誠氏が偽情報からのプレッシャーで自死を選んでしまった。事件は台湾社会に大きな衝撃を与え、これ以降、台湾人や日本人はフェイクニュースに対し真剣に対応するようになったが、そのような情報の背景には中国の影がちらついていた。台湾人の間で、「中国は時と場所を選ばず攻撃する」とよく言われるが、條子鴿氏の投稿からその影を再び感じ取ったのだろう。

謝代表の「共産党の金は受け取らないほうがいい」という言葉も、その確証があっての発言ではないだろう。ただし、中台の戦いが兵器を伴わない形で、今まさに行われていること。そして、日本がその最前線になっていることを、改めて示していると考えられるのだ。

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