台湾の在日本代表に対する情報工作に中国の影 日本の自民党総裁選・総選挙による変化を好機と見たか
具体的には1つ目に、本名と台北市警に勤務していた正確な時期と部署、処分を受けた理由を提示してほしいということ。2つ目に、十分に納得できる証拠を提示できれば、子どもに代わって自らが土下座して謝罪すること。その写真を使って将来、選挙に出てもらっても構わないということ。3つ目に、「思いが届いたか」との問い掛けに対し、当初から條子鴿氏が送った訓告処分の通知を受け取っていないと答えている。そして謝代表は、「共産党の金は受け取らないほうがいい」と結んでいる。
この後、條子鴿氏は「日本の謝さん」とは謝代表を指すものではないと弁解しているが、そんな言い訳が通らないのは言うまでもない。
投稿者は中国との「統一」志向が強い人物
一見、有名人への嫌がらせとそれに対する応酬のようだが注目すべきは、謝代表が最後に記した「共産党」、つまり中国共産党が裏で暗躍していることを暗に指摘しているとみられる部分だ。
台湾で最大部数の新聞「自由時報」がまとめた報道によれば、警察関係者によるリークで、條子鴿氏と思われる人物が警察を退職するに当たり、民間航空会社のパイロットへの転職の話があったものの、それを断り中国との統一を志向する新党系の台北市議会議員事務所に転職したという。もともと、政治に興味があり統一志向の強い人物であったと考えられるのだ。
また、謝代表が警察当局に問い合わせたところ、代表が行政院長在任中に條子鴿氏と思われる人物が訓告を受けたことはないとの回答を得た。となると、いよいよ話を捏造した疑いが高まったのだった。
特に、條子鴿氏が投稿したタイミングが関心を集める。偶然かもしれないが投稿の2021年9月4日の前日、日本の茂木敏充外務大臣が台湾へのアストラゼネカ製ワクチンの無償提供第4弾を発表した日だった。これは、台湾内で再び日本に対する好感度や話題が高まっていた時期と重なる。推測の域を出ないが、「遠い日本の謝さん」と記すことで、世論の注目を集めるには最良のタイミングと考えたのかもしれない。
台湾から見れば、謝代表は駐日代表に就任以降、京都大学から博士号を得た親日家で元首相経験政治家という経歴とともに、日台友好の深化を先頭に立って進めてきた。一方で、アメリカの台湾重視姿勢が鮮明になると、アメリカも巻き込んだ日米台の強固な関係構築を達成している。先の日本から台湾へのワクチン供給は、まさにその典型例であり、謝代表の行動力が大きく発揮された形だ。
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