労使紛争激化でトヨタの中国現地工場は生産停止が相次ぐ、人件費増不可避か

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労使紛争激化でトヨタの中国現地工場は生産停止が相次ぐ、人件費増不可避か

中国で激化している労使紛争のあおりで、トヨタ自動車の現地工場が相次いで生産停止に追いこまれている。22日には、広東省広州市の広汽トヨタが生産中止に追い込まれた。近隣で操業しているデンソーの現地工場のストにより、センサー類など電子制御部品の調達が滞ったためだ。

広汽トヨタでは「カムリ」「ヤリス」を生産している第1ライン(生産能力20万台)、「ハイランダー」「カムリハイブリッド」を生産する第2ライン(同16万台)の両方が22日朝から止まっている。トヨタではデンソーからの供給再開を待つ構えだが、22日19時点では再開時期のメドが立っていない。

デンソーの子会社、電装(広州南沙)有限公司の工場が21日に、従業員のストで操業を停止。同社の工場では期間従業員を含めて約1100人が働いているが、生産関係の従業員の大半がストに参加しているという。従業員側は賃金や福利厚生の改善を求めており、交渉は現在も継続中だ。

トヨタ系では、最大の生産拠点である天津一汽トヨタ(天津市)も18日から20日まで操業を停止していた。これも、系列部品メーカーである天津豊田合成で発生したストの影響によるもの。天津豊田合成では春先から賃上げ交渉が続いていたが、17日に物流部門で働く40人がストを開始。これで、天津一汽トヨタへの出荷が止まった。同日午後にはストが生産ラインに波及し、完全に操業を停止した。

その後労使が話し合いを続けた結果、賃上げ交渉で会社側が提示していた2割の賃上げに加えて皆勤手当などを増設し、手取りを増やすことで合意。天津豊田合成が20日から操業を再開したことで、天津一汽トヨタも21日から生産を再開した。

中国での労働争議頻発を受けて、トヨタの張富士夫会長は22日に記者団に対し、「中国で現地生産しているのは人件費の安さが理由ではなく、中国が大きな市場だから」と語り、トヨタの中国戦略が大きく変わることはないとの見方を示した。そのうえで、「トヨタというより、部品会社では今後も何か出てくるかもしれないが、ある程度は仕方がない」として、継続的な人件費の上昇を前提に中国での操業を維持する意向を語った。


《東洋経済・最新業績予想》
 (百万円)    売 上  営業利益   経常利益  当期利益
◎本2010.03   18,950,973    147,516    291,468    209,456
◎本2011.03予  19,200,000    280,000    330,000    310,000
◎本2012.03予  19,800,000    700,000    750,000    400,000
◎中2009.09    8,377,643   -136,859    -62,975    -55,986
◎中2010.09予   9,400,000    100,000    130,000    150,000
-----------------------------------------------------------
          1株益\    1株配\
◎本2010.03         66.8         45 
◎本2011.03予        98.9         45 
◎本2012.03予       127.6     45-100 
◎中2009.09        -17.9         20 
◎中2010.09予        47.8         20 
西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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