空回り社長が知らない「弱みを見せる」絶大な効果 ひと昔前の社長像は威厳あるカリスマだが…

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威厳があるカリスマ。「理想の社長像」で悩んでいた経営者が、最後の会議で本音を語ると……(写真:takeuchi masato/PIXTA)
時代によって「理想の社長像」も移り変わっています。しかし、古いタイプの経営者の場合、経営者自身が思う「理想の社長像」と社員たちが考える「理想の社長像」にはズレがある場合も少なくありません。これまで500人以上の経営者・社長に「感情コンサル」を行ってきた押野満里子氏によると、「強く厳しい社長の指揮の下で『努力』と『根性』によって乗り切る時代はすでに終わった」といいます。
押野さんの著書『社長はメンタルが9割』から一部を抜粋・編集し、そんな昔気質の社長の「感情」を整えることで経営危機を乗り越えた実例を紹介します。

「気持ち次第で経営が上向けば苦労しないよ」と思うかもしれませんが、企業経営でいちばん大切なことは、社長さんご自身がメンタル、すなわち感情を整えることだと考えています。

今回は、「社員には自分の弱みは見せられない」と考え、独りで悩みを抱え込んでしまっていた、50代のスーパーマーケットオーナー社長・新田幸次さん(仮名)の事例をご紹介しましょう。

※なお、事例は実例をベースにしていますが、個人を特定できないように脚色を加えています。

カリスマを目指した昔気質の社長

「もう、社長を辞めようと思っているんです」

スーパーマーケットのオーナー社長として、7店舗を展開する新田社長は、疲れた表情で私にそう言いました。

新田社長の信条は、「社長たるもの、社員に弱いところを見せてはいけない」。

社長は何でも知っていて、何でもできる。そして人格者でなくてはならない、と自分に課して頑張っていました。

ところが、ある日、テレビのビジネス番組を見てショックを受けます。

その番組で紹介されていたある社長は、あっけらかんと、「社員にいろいろなことを教えてもらって、助けてもらっています」と言い放ちました。部下に自分の弱い部分を平気でさらけ出している。それでいて、社員たちから愛され、信頼もされている。

そんな社長の姿を見て、頑張っている自分が馬鹿らしくなってしまったというのです。

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