空回り社長が知らない「弱みを見せる」絶大な効果 ひと昔前の社長像は威厳あるカリスマだが…

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確かに、ひと昔前の社長像は、威厳があるカリスマでした。そして、そういう社長の下で働けることに誇りを持つ社員も、たくさんいたのではないかと思います。

しかし、現代の若者の多くが求めているのは、ピラミッドのはるか上にいる社長ではなく、時には、自分の気持ちを理解してくれる経営者です。たとえば、IT企業の若い社長さんは、スタッフと一緒になって同じ目標を目指しますよね。

高校教師が、クラスの雰囲気を盛り上げるために、子どもたちのなかに入っていき、まるで、ガキ大将のように接したら、クラスが1つにまとまって、すごく面白いチームになったという実例も聞いたことがあります。

私に相談してきた新田社長は、まさに昭和タイプのカリスマ経営者を目指していました。だから、社員には絶対に弱みを見せない。そして、月に1回の店長会議では、メンバーのやる気を奮い立たせようと、ミニセミナーまでやっていたそうです。

でも、いくら気合いを入れて会議をやっても、店長たちは、いっときやる気になったように見えて、結局、変化が見られず、「すっかり疲れてしまった」とのことでした。

最後の最後に本音を話すと…

「みんながガッチリとスクラムを組んで一緒に頑張る、というような組織を作りたかったけれど、絵に描いた餅だったみたいです。ほとほと、疲れてしまって、もう、社長を降りようと思っているんです」

「事情はわかりました。もし、そこまで覚悟ができているのなら、社長を降りる前に、店長さんたちに、新田さんの本音をお話ししてみてはいかがですか?」

「えっ? そんなことを言ったら、ドン引きされますよ」

「辞めるなら、ドン引きされてもいいじゃありませんか!」

その日の感情コンサルはそんな会話で終わりました。

しばらくして、新田社長は、ついに社長を辞める決心をして、それを伝える最後の店長会議に臨んだそうです。初めて、なんのシナリオも用意せず、自分の本音を伝えるつもりで臨んだ店長会議。始まる前は、手が震え、手汗が出て、正直、すごく怖かったとか。

店長会議では、「自分は、ガッチリとスクラムを組んで、全員がやる気に満ちた組織を作ろうとしてやってきたけれど、うまくいかなかった。これはあなたたちのせいじゃない。たぶん、私のやり方がまずかったと思う。これまで、皆に迷惑をかけてきたけれど、近いうちに社長を辞めようと思う」と、本音を包み隠さずに伝えました。

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