コロナ下の株高を説明する最新経済理論のツボ 行動経済学が明かす意識への刷り込みのパワー
パッシブ運用とは、特定の銘柄や特定のポートフォリオに投資するのではなく、株価のインデックスあるいはそれに近い多くの資産に分散したポートフォリオに投資する手法だ。運用会社がいくら知恵をしぼっても大衆の知恵あるいは市場の力には勝つことができないので、恣意的に作成したアクティブな運用で市場を出し抜くことはできないという考え方だ。
こうした効率的市場仮説の考え方は正しいように見える。いろいろな投資信託が出ているが、S&P500や日経225のようなインデックスへの投資よりも高いリターンをあげ続けることは難しいように見える。ただ、アクティブな投資に意味がないというのでは投資運用会社の存在意義がなくなる。
現実的には、たとえばウォーレン・バフェット氏の率いるバークシャー・ハサウェイは非常に高いリターンを出し続けている。こうした現象は効率的市場仮説では説明できない。
また、株式市場ではしばしばバブルやその崩壊が起こっているが、投資家が合理的に行動しているということでは説明できない。
バブルが起きるときには大衆の知恵ではなく、群衆の狂気が働いているように見える。皆が正気を失って株価の高騰をあおるような行動、あるいは株価暴落に狼狽して売り急ぐ投資家が、非常に多く見られるのだ。
人の行動の歪みにはある種の一貫性がある
そのような中で、投資家も人間であり、その行動は合理性だけでは説明できない、という行動経済学的な視点に立った資産市場の分析が多く出されている。
行動経済学は、「人々の経済活動はウルトラ合理性では説明できないことがある。ただ、その歪みにはある種の一貫性がある。つまり、予想できる程度に不合理である」という視点を強調する。
効率的市場仮説が正しいのか、それとも行動経済学が正しいのか。こうした二者択一の問題設定は正しくない。どちらも市場を理解するために重要な視点を提供しているが、どちらか一方だけで市場が説明できるといえるものでもないのだ。研究者の間でも意見は割れているし、時期によって両者の説明力に差も出てくるようだ。
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