ネオクラシック列伝、第2世代GT-Rが愛される訳 人気の理由は高性能とチューニングへの適応性

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R34GT-Rに搭載されているRB26DETTユニット(筆者撮影)

第2世代GT-Rもまた、第1世代と同様に排ガス規制の強化に伴い2002年末でその歴史に幕を閉じることとなったが、R34でも約4年の販売期間に多くの特別仕様車が登場している。従来にはなかったグレードとしては、乗り心地と上質さにこだわったM-Specを2001年に設定。生産終了記念のV-Spec Nür/M-Spec Nür(各1000台限定)は、発表即日完売となり中古車でもプレミア価格で取引されているほどの人気ぶり。さらに2004年にはニスモから厳選中古車をベースに500ps仕様の専用エンジン、サス、ブレーキ、ドライカーボン製外装を装着したコンプリートカーNISMO R34GT-R Z-tuneが20台限定、本体価格1690万円で販売されている。

なぜ今も第2世代GT-Rが愛され続けるのか?

現行GT-Rを含む、歴代モデルのフロントフェイス。一番前のR35GT-Rは、50周年記念モデル(写真:日産自動車)

さて、生産中止から19年が経った今も世界で人気となっている第2世代GT-R、その人気を支えてきた大きな要因といえるのが豊富なパーツによるチューニングといえるだろう。かつてはフルチューンエンジンに大型タービンを組み合わせて800psを超えるようなパワーを獲得しているマシンも多く存在していたが、近年主流になってきているのがパワーと足まわりのバランスを重視して500ps前後のパワー設定としたファインチューンだ。

最新のパーツ開発技術を投入した新作パーツも各社から続々リリースされていて、それらを効果的に組み合わせればオリジナルを超える扱いやすさや、トラブル知らずの安心感を得ることも可能。なかでも純正にはない可変バルタイ機構の追加や、後継モデルR35GT-Rのエアフロメーターや燃料インジェクターの流用などが人気の定番メニューとなっている。さらにシチュエーションに応じて自動や任意でサスペンションの硬さを調整できるサスペンションや、音量の調整機構を備えたスポーツマフラーなども注目のパーツといえるだろう。

大森ファクトリーにて、熟練のメカニックが組み上げるR2エンジン。第2世代GTRの生産終了から月日が経過しているが現在も購入可能だ(筆者撮影)

また長く第2世代GT-Rを楽しむために、チェックしておきたいのがニスモの動向。好調を維持するために欠かせない純正パーツを「Heritage Parts」として復刻販売しているほか、ヘッドクォーターとなる大森ファクトリーでは各種レストアサービスやオーバーホールを兼ねたエンジンのファインチューニングメニューを用意。そうした情報もしっかりと収集しながら、世界に誇る名車を今後も長く楽しんでもらいたいと、一ファンとして切望している。

川崎 英俊 フリーライター&エディター

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かわさき ひでとし / Hidetoshi kawasaki

1987年にモーター系出版社に入社後、社歴の大半をクルマのチューニング専門誌で過ごし2012年に退社。以降フリーライター&エディターとして、クルマとバイクをメインに各誌に原稿を寄稿中。

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