「新型コロナ起源」バイデン報告書で判明したこと 原因究明へ、米中の協力姿勢こそが今必要だ

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これらの3つのポイントは、トランプ政権時の高官の見解とは大きく異なる。トランプ前大統領やポンペオ前国務長官は武漢の研究所からウイルスが流出した証拠があると強く主張していたからだ。また、ポンペオ氏や同氏が率いていた国務省高官の一部は当時、ウイルスは中国政府のマニピュレーション(操作)の産物であり、生物兵器であることさえほのめかしてきた。このことはトランプ政権終了間際の今年1月15日に国務省が公表した武漢ウイルス研究所の活動についての「ファクトシート」でも示唆されている。

しかし、トランプ大統領が「武漢研究所がウイルス発生源である証拠を見た」と豪語したのに対し、国家情報長官室は2020年4月、「新型コロナウイルスは人工でなく、遺伝子操作でもないという科学的コンセンサスに同意する」「感染した動物との接触が発生源なのか、あるいは武漢研究所での事故によるものなのかを判断するため、さらに調査を続ける」との異例の声明を発表していた。

今回のバイデン政権下での追加調査はそもそも、研究所からの流出疑惑を追及するウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道などを受け、世論に押されたバイデン大統領が5月26日に情報機関に90日間の追加調査を直々に命じたことから始まった。しかし、国家情報長官室は今回の報告書でも、1年半以上前のトランプ政権下で発表した声明とほぼ同じことを一貫して述べていると言える。

それにしても、情報機関をコロナ起源解明のために駆り出すことは当初から無理や限界があっただろう。情報機関は情報の収集や分析に長けているだろうが、微生物学者や分子生物学者、感染症学者など科学者に比べて当然ながら専門的な科学知識に欠けている。まして中国語のウイルス関連の医学情報を隅から隅まで解読し、解明していくのは困難極まりないだろう。

科学者の間では自然発生説が有力

では、その道のプロである科学者たちはコロナ起源をどのようにみているのか。

ウイルス発生源を調べるべく、今年1月14日から2月10日まで武漢市に派遣された世界保健機関(WHO)調査団は3月末、「最も可能性が高いのはもともとウイルスを持っていた動物から中間宿主の別の動物経由。武漢研究所での事故による流出の可能性は極めて低い」とする調査結果を発表した。注目の最初の感染発生時期については、武漢で感染爆発が起きた2019年12月中旬より数カ月前と推察した。

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