バレー柳田将洋が五輪落選でも絶望しなかった訳 失敗は「次の選択へのスタート地点になる」

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人生のゴールとして目標設定をする人もいると思いますが、僕の場合は目標=ゴールではありません。目標は達成するために立てるので、当然達成できることを指します。そして、達成した先に次の目標を立てる、その繰り返しです。目標をゴールだと思ってしまうと、次の目標も設定できなくなる。ゴールではないというのはそういう意味です。

例えば、今年は東京オリンピックがありました。そこで結果を出すことを目標としていましたし、その結果によっていろいろと状況が変わってきて、次の目標が決まると思っていました。

オリンピックに出て、それなりの結果を出すことが目標でなくゴールになってしまうと、オリンピックが終わると同時にバレーボール選手としてゴールしてしまうことになります。でも、バレーボールに関わっている人間としての目標はまだまだ続くのです。

目標はつねに同じではありません。例えば4年先、2025年の目標を決めたとして、今からイメージどおりには進まないでしょう。場合によっては目標を大きく方向転換する必要もあります。それでもまた次の目標をしっかりと立てることができれば、目標のために別の選択と行動をしたということになるので、新たな推進力が生まれます。

「バレーボールで生活する」のは1つの目標で通過点

若いころは僕も目標とゴールを混同していた時期がありました。サントリーに入社したときがまさにそうです。サントリーの社員として引退までプレーして、その後は社員として働いていく……。将来が明確なので、途中で何かが変わったとしても目標を変える必要もないし、新たに設定する必要もありません。

もちろんその考えを否定するつもりはありませんし、「バレーボールで生活する」ということがゴールなのであればそれでよかったと思います。しかし、後から気づきました。僕にとって「バレーボールで生活する」のは1つの目標であり通過点だったのです。

安定した環境、新たに目標設定をし直さなくていい環境に身を置いて考えさせられました。自分の意思はその環境の何かを左右するものではありませんし、どれだけ頑張っても給料は変わりません。

もちろん、優勝すれば多少はボーナスも出るでしょうが、結果を出しても次のシーズンの何かが変わるわけではなく、それを毎年繰り返していく。淡々とバレーボール人生は進んで、やがて引退する……。そう考えて不安になったとき、酒井大祐さん(男子Vリーグで通算出場セット数歴代1位を獲得したこともある名リベロ選手)に相談したらアドバイスをいただきました。

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