「隕石が地球にぶつかる日」に向けた真剣な実験 地球に照準を合わせている隕石が実際にある

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同施設の発射室はウォークインクローゼットほどの大きさだ。研究者たちはまず、その中に隕石をナイロン製のひもでつるした。次にポンプを使って発射室を真空にし、惑星間宇宙の状態に近づけた状態で、アルミ製の小さな球体を隕石に撃ち込んだ。

直径1/16~1/4インチ(1インチは約2.5センチメートル)の範囲で大きさの異なる球体をさまざまな速度で発射し、1秒間に最大7万1000フレームを撮影できるハイスピードカメラなど、複数のセンサーを使って衝撃の様子を記録した。

来年には本物の小惑星で宇宙実験

その結果、2種類の隕石には強度に大きな違いがあることがわかった。炭素質コンドライトの方がはるかに砕けやすく、普通のコンドライトが耐えられる運動量のわずか6分の1で砕け散った。

研究チームによれば、これは本物の小惑星の軌道を変える作業にもかかわるポイントだ。地球に向かってくる小惑星の炭素含有量が高い場合には、壊れてバラバラにならないように軽い衝撃を何度も与える必要があるかもしれない。

研究チームは来年、NASAの「二重小惑星方向転換試験(DART)」というミッションで、太陽系内の本物の小惑星に対し初めてキネティック・インパクト・ディフレクションを試す予定になっている。宇宙船を衝突させる標的は「ディモルフォス」と呼ばれる直径160メートルほどの岩の塊で、地球に衝突する危険性はない。宇宙船の打ち上げは今年11月となる見込みだ。

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所の惑星科学者で、DARTミッションの調整責任者を務めるナンシー・シャボー博士は、「こうした実験を行うのは間違いなく重要だ」と述べる。「実際に実行に移さなくて済むのなら、それに越したことはない。しかし地球への天体衝突は、地球が誕生してからずっと続いており、これからも続いていく」。

(執筆:Katherine Kornei記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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