世界最大の債券市場である米国債市場は、次の波乱材料を長く待つ必要はなく、年内の米国債利回りの行方を決める極めて重要な米雇用統計が今週発表される。
利回り曲線は先週、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演後、1年で最も平たん化した水準から7月以来初めて週間ベースでスティープ化した。議長は年内に債券購入の縮小を開始し得ると述べたが、その後に急いで利上げに着手しない考えを示した。
今週の雇用統計がFRBのテーパリングを予想する鍵
議長はまた、新型コロナウイルスのデルタ変異株流行への懸念も表明したため、トレーダーは8月の雇用統計に焦点を合わせ、年内残りの3回の連邦公開市場委員会(FOMC)のどこで当局が資産購入のテーパリング(段階的縮小)計画を発表するかを見極める構えだ。そうした中で9月3日に力強い雇用統計が出てくれば、早期のテーパリング観測が高まり、スティープ化のトレンドが続く可能性がある。
コロンビア・スレッドニードルのポートフォリオマネジャー、ジーン・タヌッツォ氏は電話インタビューで、「パウエル議長はテーパリングの要件としきい値を非常に異なるものとして分離を目指し、利上げについてはさらに厳しいテストがあると述べて、素晴らしい仕事をした」と評価。 「デルタ株感染拡大の中で予想よりも良いデータが出れば、テーパリングが実現し、利回り曲線はスティープ化する可能性があると思う」と語った。