「リスクのある小麦」の輸入を続ける日本の末路 発がん性指摘される農薬を効率重視で直接散布
2018年3月末に、消費者庁から「消費者の遺伝子組み換え表示の厳格化を求める声に対応した」として、GM(遺伝子組み換え)食品の表示厳格化の方向性が示された。
アメリカからは、日本に対してGM表示を認めないとの圧力が強まると懸念されていたなかで、私はGM表示の厳格化を検討するとの発表を聞いたときから、アメリカからの要請に逆行するような決定が本当に可能なのか疑念を抱いていた。
特にアメリカが問題視しているのは、「遺伝子組み換えでない」(non-GM)という任意表示についてである。すなわち、「日本のGM食品に対する義務表示は、対象品目が少なく、混入率も緩いから、まあよい。問題はnon-GM表示を認めていることだ」と日本のGM研究の専門家の一人から聞いていたからなのだ。
「GM食品は安全だと世界的にされているのに、そのような表示を認めるとGMが安全でないかのように消費者を誤認させるからやめるべきだ。続けるならばGMが安全でないという科学的証拠を示せ」という主張であった。
そもそも緩かった「遺伝子組み換え表示義務」
日本のGM食品に関する表示義務は、①混入率については、おもな原材料(重量で上位3位、重量比5パーセント以上の成分)についての5パーセント以上の混入に対して表示義務(注1)を課し、②対象品目は、加工度の低い、生に近いもの(注2)に限られ、加工度の高い(=組み換えDNAが残存しない)油・醤油をはじめとする多くの加工食品(注3)、また遺伝子組み換え飼料による畜産物は除外とされている。
(注2):トウモロコシ、大豆、じゃがいも、アルファルファ、パパイヤ、コーンスナック菓子、ポップコーン、コーンスターチ、味噌、豆腐、豆乳、納豆、ポテトスナック菓子など。
(注3):サラダ油、植物油、マーガリン、ショートニング、マヨネーズ、醤油、甘味料類(コーンシロップ、液糖、異性化糖、果糖、ブドウ糖、水飴、みりん風調味料など)、コーンフレーク、醸造酢、醸造用アルコール、デキストリン(粘着剤などに使われる多糖類)など。
これは、0.9パーセント以上の混入があるすべての食品に、GM表示を義務付けているEUに比べて、混入率、対象品目ともに極めて緩い。
これに対する厳格化として、決定された内容を見て驚いたのは、①と②はまったくそのままなのである。
厳格化されたのは、「遺伝子組み換えでない」(non-GM)という任意表示についてだけで、現在は5パーセント未満の「意図せざる混入」であれば、「遺伝子組み換えでない」と表示できたのを、「不検出」(実質的に0パーセント)の場合のみにしか表示できないと、そこだけ厳格化したのである(違反すると社名も公表される)。
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