コロナで瀕死「ユーロスター」なぜ危機脱却できた ワクチン接種進み、レジャー需要急増で増発へ

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ロンドン・セントパンクラス駅の「ユーロスター」出発ロビー。ワクチン接種が進み利用者が戻ってきている(筆者撮影)

コロナ禍の影響による業績悪化で、破綻寸前にまで陥っていた英国と欧州大陸を結ぶ国際高速列車ユーロスター。2020年3月に各国間で渡航制限が導入されて以来、国際移動需要の蒸発で経営危機にさらされてきた。ところが今年8月に入り、英国をはじめとする各国のコロナ対策が順次緩和されたことで需要が急激に回復。ついに定期列車の増発を決めた。

コロナ禍による規制からの脱出が実現しつつある欧州だが、ユーロスターは瀕死状態からどのような経緯でここまで盛り返すことができたのか。

1日58便からわずか2便に減少

コロナ以前のユーロスターはビジネス需要も観光利用も極めて好調で、1日当たりの運行本数は最大58便(片道)、平均の乗車率は80%を超えていた。

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しかし、コロナ禍の影響を受け、乗車率が1%まで転落。最も運行本数を絞ったときは、ロンドン―パリ便、ロンドン―ブリュッセル便がそれぞれ1日1往復まで減った。最小限のサービスは維持したものの、その列車の乗車率さえも10%以下に落ち込むという惨憺たる状況だった。

英国民にとって、欧州大陸との鉄道アクセスは非常に重要な輸送インフラだ。昨年末以来のデルタ株の拡散で旅客需要がまったく戻らない中、オペレーターであるユーロスター社は悪化した財務状況を受け、英国政府に支援を求めた。しかし、今年2月に開かれた運輸特別委員会で、グラント・シャップス英運輸相は、「ユーロスター社には英国政府が出資していないため、政府として支援は不可能」とし、同社の要請を断った。

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