表彰台の選手に対する報奨金に見るオリパラ格差 多様性と調和を謳った東京五輪の理念に反する
米オリ・パラ委員会が両大会のメダルの価値を同じと決定
この格差を埋めるために、長年にわたりいくつかの働き掛けが行われてきた。フランスのパラリンピック・スポーツ委員会の担当者によると、同国では2008年以降、パラリンピックとオリンピックのメダリストに同額の報奨金が支給されている。また、東京大会は、米国のパラリンピックメダリストが、オリンピックと同額の3万7500ドルの賞金を受け取る初めての大会となる。
過去に8個のメダルを獲得した米国のパラサイクリング代表のオクサナ・マスターズ選手は、18年に米オリンピック・パラリンピック委員会が両大会のメダルの価値を同じにするという決定を発表した際、涙を流して喜んだ。東京大会にも出場する。
カナダ・パラリンピック委員会の担当者は、財政的な問題からメダリストに賞金を与えることは難しいが、将来的には支給が実現できるよう努力するという考えを支持しているとメールで回答した。
開催国の日本の場合、パラリンピックの報奨金は08年の北京大会から支給され、16年のリオデジャネイロ大会まで、オリンピックのメダリストと同額だった。しかし、日本オリンピック委員会(JOC)が同年に金メダルの賞金額を引き上げたことで格差が生じ、平等化に進む他国の流れから逆行することとなった。
日本障がい者スポーツ協会(JPSA)の石田和彦事務局長は、「オリンピックメダリストの報奨金に近づけるよう、これまで順次金額を引き上げてきた」が、「現在のところ差額を埋める」予定はないと語った。石田氏は、JOCに追随しない理由について、「金メダルを特段重視することなく、金、銀、銅のバランスを考慮した報奨金の額としている」と説明した。
国際オリンピック委員会(IOC)の広報担当者は、アスリートに報酬を与えるかどうかは、各国のオリンピック委員会の判断に委ねられているとメールでコメントし、報奨金の差額については見解を示さなかった。