まず安全性では、重篤な症状が出た人は皆無だった。発熱した人は、ワクチン接種群で0.7%、偽薬接種群では0.4%。疲労感があった人はワクチン接種群で36.0%、偽薬接種群では29.7%。筋肉痛があった人はワクチン接種群で27.6%、偽薬接種群では16.6%。頭痛があった人はワクチン接種群で22.2%、偽薬接種群で20.0%。瀉腹があった人はワクチン接種群グループで15.1%、偽薬接種群では12.6%。吐き気・嘔吐があった人はワクチン接種群で7.7%、偽薬接種群では6.7%。局所性の反応では、主なものは注射部位の痛みで、ほとんどが軽度だった。
次に有効性では、抗体陽転率(Seroconversion rate)は99.8%。特に20から64歳の間では99.9%に達し、ほぼ接種者全員に抗体ができたことを意味する。次に幾何平均抗体価(Geometric mean titer)は662。特に20から64歳の間では733を記録し、比較対象のアストラゼネカ社製の3.4倍だった。幾何平均上昇倍率(Mean geometric titer increase fold)は163倍。特に20から64歳の間では180倍に達した。
これらのデータから、専門家による審議を経て高端社はEUAを取得した。一連の検品などの確認を終え、8月16日から高端社製の接種予約を開始し、2021年8月20日正午までに59万9613人が予約、実に接種資格のある人の66%に達し、期待の高さがうかがえる状況だ。
「台湾産」接種に反対する中国国民党
世界的なワクチン不足が叫ばれる中、誰もがうらやむ新型コロナワクチンの国内開発、製造に成功した台湾。しかも有効性は世界で最も接種されているアストラゼネカ社製を上回るという。8月23日に接種を開始したが、それでも反対の声が上がっている。
2021年8月4日、前台北市長の郝龍斌氏と楊志良・元衛生署長(厚労相に相当。後の衛生福利部)は、高端社がEUAを取得して同社のワクチンが世に出たことは、生命や身体に危険が及ぶ可能性が高い。決定は違法であるとして、台湾高等行政法院(裁判所)にEUA撤回を求め訴えた。
ちなみに郝氏の父は、李登輝元総統と政治闘争を繰り広げたとされる郝柏村元行政院長(首相に相当)である。戦後、蔣介石とともに台湾に渡ったいわゆる外省人系軍人で、大物政治家であった。
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