暑い?寒い?それでも「電車の冷房」は進化している 苦情絶えないが、乗るほうだって対策が必要だ
日本の夏は暑い。暑いうえに蒸している。今はどの建物や乗り物にも空調が入っていて、室内にいる分には楽になってきた。だが、「冷房を入れているのに暑い」、逆に「冷房を入れると寒い」といった、新たな問題も起きている。
筆者は以前、駅員をやっていた。真夏の暑い時期は、客から冷房の苦情を聞かされたが、かなり印象に残っているのは、同じ電車から真逆の内容の苦情を受けたことだ。「今乗ってきた電車が暑いのだが、一体どうなっているのか?」という苦情を受けた後、入れ代わりに別の客がやってきて「今乗ってきた電車が寒いのだが、(以下同文)」という。
「この2つの苦情を同時に受けていたら、どうなっていたのだろうか」と思うこともあるが、苦情を申し出てきた客の格好を見れば、真逆の苦情を言ってきた理由の説明がつく。
最初の「暑い」と言ってきた苦情の主は男性で、恰幅がよいうえに、スーツをガッチリ着込んでいた。次いで、「寒い」と言ってきた苦情の主は初老の女性で、痩せた格好のうえに風通しのよい薄手の服を着ていた。
体格や着ている服が違えば、「暑い」「寒い」の感じ方も変わってくる。服の着こなし等で調整はできるが、駅員にそれが言えるはずもない。
同じ電車でも、暑い場所と寒い場所がある
もう1つ、客がいる場所にも問題があるだろう。苦情を言ってきた客から、乗っている場所まで尋ねる必要もないが、電車の車内では暑い場所と涼しい場所がどうしてもできてしまう。
これは電車でも建物でも同じで、エアコンなどの空調装置から吹き出す冷風が届く場所に近ければ涼しいし、逆に風が届かなければ暑い。先の客たちも、場所を入れ替えれば不愉快にならずに済んだのかもしれない。
では、具体的にどこが涼しくて、どこが暑いのだろうか。最近の通勤電車では、客室の長手方向に冷房の吹出口が2本並んでいて、ほぼ均等に冷風が吹き出す仕組みになっている。
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