暑い?寒い?それでも「電車の冷房」は進化している 苦情絶えないが、乗るほうだって対策が必要だ

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さらに、吹出口の間に数箇所、横流ファンという送風機があって、車内に風が行き渡るように作られているのだ。なお、横流ファンは「ラインフローファン」や、商品名を取って「ラインデリア」とも呼ばれている。加えて、冷風を吹き出すには冷やすための空気を取り込む必要があるが、これは冷房装置付近にあって、「リターン」などと呼ばれている。

このような仕組みを踏まえると、暑いときに車内の涼しい場所にいれば快適だし、冷房が苦手であれば暑い場所に逃げ、やり過ごすこともできる。先に「涼しい場所」に触れると、天井に付いている横流ファンから風が届く位置にいるのがよい。天井を見れば横流ファンが付いている位置はわかるが、見なくても風が吹いていればその場所がわかるだろう。横流ファンは各車両に数箇所あり、その多くはドアの位置にあるのが基本だ。

逆に「暑い場所」は、冷房装置の「リターン」の箇所となる場合が多い。多くの通勤電車では車両の中央部に冷房装置を搭載していることが多く、車両の真ん中が暑いということになる。地下鉄丸ノ内線や都営大江戸線などでは、トンネルの寸法の制約で薄型の冷房装置が使用され、冷房の能力の都合で車両の端に1台ずつ、合計2台が設置されている。この場合は、車両の端のほうが暑いという結果になる。

新幹線は寒い?

ずいぶん前の話だが、あるテレビ番組でタモリ氏が「新幹線は寒い」と話していたのを記憶している。新幹線をはじめとする特急用の車両では、出入口と客室が分離され、外の熱気・寒気が客室に入りにくい構造で作られている。結果として通勤電車よりは寒暖の影響を受けにくく、夏でも比較的快適に過ごすことができる。

新幹線など特急用の車両では出入口と客室が分離され、空調の効果を高めている(筆者撮影)

だが、同じ冷やし方でも陽が当たる窓側の席は暑く、逆に陽が当たらない側の座席は寒いという現象は起こる。あとは人の体の問題で、乗車した直後は外気の影響で体に熱がこもっているが、長く乗っていると汗が冷えたり、こもっていた熱が抜けたりで、同じ冷やし方でも感じ方が変わってくる。東海道新幹線では新横浜を出ると名古屋まで1時間以上も停まらずに走るため、この間に体が冷えてしまうのは当然のことだろう。

長時間乗っていると、寒く感じることは通勤電車でもよくある話だ。筆者も真夏の新幹線に乗るときは羽織るものを持参しているし、「青春18きっぷ」を使って普通列車に長時間乗って移動する際は、長袖を用意していた。

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