暑い?寒い?それでも「電車の冷房」は進化している 苦情絶えないが、乗るほうだって対策が必要だ

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特急用の車両と違って、通勤電車では頻繁に扉を開閉して外気に触れる。結果として冷えた車内はあっという間に暑くなってしまうので、通勤電車の冷房装置では能力を高め、扉を閉じればすぐに冷えるように対処している。

だが、これでも冷房の能力が足りず、「暑い」という苦情が増えてきた。これは鉄道事業者の責任というより、環境の変化にも原因があるだろう。というのは、通勤電車が走る大都市では、地球温暖化やヒートアイランド現象等によって気温が上昇し、熱帯夜(夜間の最低気温が25度以上)や真夏日(日最高気温が30度以上の日)、猛暑日(日最高気温が35度以上の日)が増加傾向にあるからだ。

ということで、電車の冷房能力を増強する取り組みも行われている。一例として関東の通勤電車では、1両の全長が20mで片側4扉の車両が多数を占めるが、このタイプの車両では、冷房能力が48.8キロワットというのが主流だった。最近の新形車両では、能力を増強して58.1キロワットが標準としているが、既存の車両でも冷房装置の老朽取替と合わせて能力の増強を図る事例が見られる。

最近では、感染症の影響もあって夏でも窓を開けて走っているが、冷房がちゃんと効いている。冷房能力を増強した賜物と言えるのかもしれない。

嫌な臭いを消す

「暑い」「寒い」のほか、一時期目立っていたのが臭い(臭気)に関する苦情だ。これは真夏よりも梅雨時に起きやすいもので、家庭用のエアコンと同じことが電車でも起こっている。

悪臭が発生する原理も、家庭用のエアコンと同じだ。冷房装置によって空気が冷えることで、空気中の水分が冷房装置内に生じるのだが、これとホコリなどが合わさって臭いが生じる。冷房装置を動かすと、カビの臭気が生じるわけだ。

臭いの苦情に対処するため、当初は「香り」を付けて対応したこともあった。トイレの芳香剤に近い考え方だが、香りは利用者によって好みが大きく左右される。ということで、添える香りは微量として、すぐに慣れてわからなくなってしまう程度としていた。だが、これでも香りへの苦情が出てしまい、改善を試みたものの、結局は香りを付けるやり方をやめている。公共の空間に香りを付けるのは、やめたほうがよいという事例だろう。

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