アメリカ軍「アフガン撤退」日本と韓国への意味 アフガン動乱はアジア情勢に影響を与えるか

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筆者が韓国と日本の元高官や現職顧問らと最近行った会話の中では、アフガニスタンでの混乱は、アメリカと同盟国との関係の重要性を一段と確信させることにつながっていると感じた。極東アジアの政治家たちは、アフガニスタン政府と軍が自国を守るために戦うことを放棄したと指摘するバイデン大統領に同調している。

「カブールの陥落は、考えられているほどアメリカとの同盟関係を損なうことにはならないのではないか」と、元外交官で現在はキヤノングローバル戦略研究所研究主幹を務める宮家邦彦氏は話す。

「アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領らは、アフガニスタンの国民を助けなかった。彼らはそのツケを払わなければならない。日本も自ら戦って自己防衛する意思を持たなければ、アフガニスタンと同じようなことになるだろう」

「1年ですら駐留すべきではなかった」

アフガニスタンの無秩序状態と、アメリカ軍撤退については、アメリカの信用喪失の危機とは見ておらず、むしろ、過去のまずい政策の結果とみている。

1990年代後半に外務省でアフガニスタンを担当していた宮家氏は、「アメリカは、アフガニスタンがこれまでも、そしてこれからもずっとこのような状態であることを知っていたはずで、20年間も、あるいは1年ですらあそこに駐留するべきではなかった」と語る。

「アフガニスタン政府の崩壊は、アメリカよるコミットメントへの信頼性が失われたというよりも、20年間にわたって国際的支援を受けていたにもかかわらず、アフガニスタン政府が失敗した結果とみられている」と、元外交官で日米関係を担当していた梅本和義氏も語る。

今のところ、日本の政策担当者は、アフガニスタンと、台湾や東シナ海の紛争地域など、自国の域内で起こりうる火種との安易な比較を拒否している。台湾か東シナ海のいずれにしても、中国の侵略にアメリカが対応できない場合のリスクは、アメリカの介入のきっかけとなったアフガニスタンへのテロリストの再来の危険性よりもはるかに高い。「台湾に関しては、アメリカが介入しなければただちに世界秩序に影響を与える」と、元日本政府高官は語る。

一方、韓国では今回の件によって、国内における圧力が高まっている北朝鮮からの攻撃がエスカレートする可能性があるため、パニックになるほどではないものの、やや慎重な見方が浮上している。

アメリカのコミットメントに対する信頼はまだ揺らいでいない、というのが韓国の各分野の政策担当者の見解だ。「それどころか、今回の出来事は多くの人に韓米同盟の重要性を喚起した」と、国家情報院副院長を務めた元外務省高官の金淑氏は語る。

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