いつも朝食を摂る、ボンボローネがとてもおいしいお菓子屋さんの入り口で、「グリーンパスはある? 店内で食べたいなら、ないとダメなのよ」と顔馴染みのオーナーが私に言った。
そうだ、今日からだった!と一瞬焦ったものの、接種2回目を終えてすぐにスマホにダウンロードしていた私は、得意げにバッグに手を入れた。すると「あるならいいのよ、持っているかどうか確認義務を怠ったのがバレると店が罰金だから」と笑った。ただしカウンターでコーヒーを立ち飲みするだけならグリーンパスは必要なし、でもマスクは義務だという。コロナの時代は覚えることが多くて大変だ。
グリーンパスは、2回目のワクチン接種が終わって数日後(1回接種タイプの人は1回目終了後)に、州からメールなどで送られてくるコード番号を専用アプリに入力すれば簡単にダウンロードできる(州により若干の違いあり)。メールアドレスがない人、スマホを使わない人は、薬局でプリントアウトしてもらうこともできる。だが人によってはメールが届かないなど、トラブルも起きているようだ。
レストランに予約の電話を入れたら…
グリーンパスが義務になった翌日の土曜日、今度は娘と2人で魚料理のおいしい店に夕食に行こうと、予約の電話を入れた。すると「店内の席しか残っていないですけどいいですか?」という。イタリア人は元来、外の席が好きで、排気ガスまみれの道路ぎわの席でもうれしそうに食事をする。コロナが始まってから外の席がさらに人気なのは当然だ。でもその日はとても蒸し暑い夜だったから、冷房の効いた室内のほうがいい。
「もちろん、室内でいいですよ」と私が答えると、「じゃあグリーンパス必要ですけど 2人ともお持ちですか?」と言われ絶句してしまった。ワクチン接種をまだ1回しか済ませていない娘は、グリーンパスを持っていない。1回だけの接種でも限定付きグリーンパスはもらえるが、そのグリーンパスでレストランへ行けるのかどうか、私は確認していなかった。どうせ限定付きだし、まだ義務じゃないからと、あまり真剣に考えていなかったのは娘も同じらしい。
じゃあ残念ですけどダメですね、またどうぞ、と電話は切れた。ママは魚のフリットが食べたかったのに! 娘にそう告げると、あら、ちょっと待ってとスマホを操作し、1分後には彼女はグリーンパス保持者となった。
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