イタリアで開始「ワクチンパスポート」の現状 偽のグリーンパスを販売する闇サイトまである

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店のスタッフが利用していた、偽のグリーンパスをチェックするアプリ(筆者撮影)

予約を取り直してレストランへ行くと、入り口で店のスタッフが専用のコントロールアプリを使って、客のグリーンパスをチェックしていた。

偽のグリーンパスを販売する闇サイトまであるそうで、本物かどうかを確認するのだ。そして本物でも、他人のグリーン・パスを悪用する人を取り締まるため、IDカードの提示を求める権利がレストランオーナーなどにあるかどうか? という議論も起こった。結局はIDカードは警察関係者などがアトランダムに確認するということになったが、その数日後、他人のグリーンパスでジムへ行った若者が摘発されたというニュースが大きく報道された。

秋からは教職員や大学生も「義務化」

イタリア政府の専用サイトには「グリーンパスとは、Covid-19安全証明書で、各種イベントや施設、その他の公共設備や公共交通機関の利用を簡単にするものです」とある。

抗Covid-19ワクチンを2回、または1回終えている人、48時間以内にPCR検査で陰性が証明された人、6カ月以内にコロナから回復した人に発行される。12歳以上は全員、これがないとレストランやバールなどの飲食店(外の席であれば必要なし)や美術館などの文化施設、ジムなどを利用できないし、屋外でも密が発生する可能性のあるイベントなどでは、提示の義務がある(1回のみ接種済みの人は使える場所が限られる)。

秋からは学校の教職員や大学生もグリーンパスが義務化され、飛行機はもちろん長距離の列車なども対象となるらしい。会社の社員食堂もレストラン同様グリーンパス義務化となったから、パスがない人たちの暮らしはどうなる!と侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が交わされる毎日だ。学校が始まる前にワクチンをしたい、もうオンライン授業はたくさんだと、13歳から18歳(イタリアでは18歳以上が成人)の子どもたちへのワクチン接種もどんどん進んでいるのだそうだ。成長期の子どもへのワクチン接種に親が悩んでも、子どもたちは自由になりたいと接種に突き進む。もちろん未成年は両親の承諾がなければ接種はできないのだが……。

私は最初、グリーンパスとマスク、手洗い、消毒を併用することで、コロナ前の自由な生活がほぼ戻り、経済も活性化していいことだなあ、ぐらいに思っていた。グリーンパスに反対している人たちが大勢いるのも、反対デモが頻繁に起こっているのも知っていたし、健康上の理由などでワクチンが打てない人は気の毒だが、そういう人のための特別な証明書が発行されるというニュースも聞いた。

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