石破茂「本心は原発ゼロ」なのに表立って言わぬ訳 政界きっての軍事通が語る「原発と核抑止力」

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――原発をゼロにしたほうがいいと思ったきっかけは?

それはないほうがいい。つまり福島第一原発事故で、決して安全ではないということがわかったからでしょ。すぐにゼロにいくかといったら、そうはいかないでしょ。エネルギーを確保しないといかんでしょ。エアコンがなければ熱中症で亡くなる人もいるわけでしょ。温暖化で、炎暑の中、公共事業で働いている土木作業の人たち、いっぱいいるんでしょう。それをどうしていくんだと。

原子力発電所の現状(出所:経済産業省資源エネルギー庁の「日本の原子力発電所の状況」)

政治家として悩んでいる

――再生可能エネルギーで電力需要を賄えるとなった場合、核抑止力をどうするかということになる。

一番の悩みかもしれない。だから核兵器を持つべきだという議論を、割り切れば語れるんだろう。けれども責任ある政治家としてできるか。原発ゼロで、話し合いで軍備を放棄して……それは素晴らしいだろう。それが政治家としてできるのか。悩んでいます。

――元原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎氏は「核抑止力で必要としても、小さな研究用原子炉と再処理施設があれば足りる。巨大な原子力産業はいらない」と言っています。

そうかもしれない。(しかし)正しいと自信を持って言うだけの知識がない。間違っていると言うだけの知識もない。核兵器(の研究)は日本もずっとやっていた。紙の上だけだったら大学院生でも造れると言う人がいますよね。実験炉(で足りる)というのは、(そうかもしれないと)思いますけど、断定できるだけの知識がない。

廃炉には気が遠くなるだけの時間がかかるし、でも、諦めてはいけないし。次の世代に委ねるべきだとも思っていない。目いっぱい享受した、われわれ世代が解決すべき問題だと思っています。

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