石破茂「本心は原発ゼロ」なのに表立って言わぬ訳 政界きっての軍事通が語る「原発と核抑止力」
――原発がミサイルで狙われる恐れも指摘されています。自衛隊の装備を担当していた人に聞いたら、これだけ原発が点在しているとイージス艦とパトリオット(地対空ミサイル)で守りきれないと言っていました。守りきるだけの装備はない、と。
そうですね……その方が実名をあげて言ってくださればいいけれど。私は(2007年9月~2008年8月、防衛)大臣として、「どうするんだ、それ」と言ってきました。そういうリスクを少しでも減らしていかないとならない。でも怖いことを語っちゃいけないという雰囲気がある。
――原発が安全ということを崩すからですか。
安全じゃない、ということがわかったじゃないですか。要は悩んでいる、というのが正しくて。悩んでいても、考えても考えても答えが出ない。原発ゼロにしたいです。平和な世の中つくりたいです。その思いはなくしません。
原発ゼロに至る道筋をどうするか、納得できていない
――原発ゼロにしたいと思う理由は?
再生可能エネルギーで、エネルギーの供給は可能だということです。今すぐ可能ではない。原子力は相当減ったとはいえ、(現実にはまだ)あるし、保守管理で電力会社の人たちは一生懸命やっているのも間違いない。原発ゼロだと断言して政策を正面に掲げないのは、そこに至る道筋をどうするんだというのを自分で納得できていないから。
――首相が決めれば予算もつく。民間の力だけでは難しいかと。
そうでしょう。そこに向けて国家予算をどう振り分けるかに、政治家は正面から向き合わなければならんでしょうね。
一方において、(エネルギーの)自給はどうするか。それだけじゃないよ。だけど、経済封鎖を受けてエネルギーが立ちゆかなくなるときに、どうするんだというのがある。エネルギーが逼迫したというのが、(かつての)戦争を引き起こした原因の一つでもある。「どう賄っていくの?」というのを、もっと自分の知識を深めたいと思う。
――ゼロにしたいと思ったのは、原発の危険性がわかったからですか。
ゼロにしなきゃいけないけれども、道筋を示さなければ政治家として責任を取れないでしょと。エネルギーが足りない、足りないんだったらと、そうならないようにしないといけない。
一度そうやって(戦争が起きて)いる。技術をどうするのか、納税者がお金を負担するのか、電力会社が負担するのか、誰が負担するか。議論を詰めないと、理想は理想で終わってしまう。
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