「愚かな失敗」に終わらせないための組織風土 科学者と経営者の「輝かしい失敗」から学ぶ
コロナ敗戦を「失敗の型」から考える
新型コロナウイルス感染症への政府の対策を「失敗」と断じ、「敗戦」とする呼び方を目にするようになった。
「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」
竹やりを構えた戦時中の少女たちの写真と中央の真っ赤なコロナウイルス。5月11日、朝日新聞など、全国紙3紙の朝刊に、両面見開きで掲載された宝島社の企業広告は、大きな反響を呼んだ。
なぜ、失敗が繰り返されるのか。そう思っているとき、書店でタイトルが目に飛び込み、手に取ったのが『失敗の殿堂:経営における「輝ける失敗」の研究』だ。著者のポール・ルイ・イスケ氏はオランダのマーストリヒト大学ビジネス・経済学部教授。
驚いたことに、同学内には「輝かしい失敗研究所」なる機関が実在し、そのCFO(最高失敗責任者)を務めるのがイスケ氏だった。冗談っぽい肩書に見えるが、この肩書にこそ、失敗を恥ずべきものではなく、ポジティブに、ひたすら前向きに捉えようとする本人たちの意思が表れているようだ。
輝かしい失敗(Brilliant Failures、略してBriFa)とは、「価値を生み出そうとしたけれど、本来意図した結果が出せなかった試み」であり、「そこから学んだ教訓や学習経験」により、「最終的に何らかの価値を生み出す失敗」のことだ。「失敗は成功のもと」の格言でいえば、「成功のもと」になる失敗ということだろう。
オランダはEU内で「イノベーションの国」として知られる。どうすれば、失敗をイノベーションに活かせるのか。
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