強制貯蓄を原資としたペントアップ・デマンドの発現には、過度な期待はできないが、消費項目の「濃淡」まで考慮すれば、有望な投資アイデアにつながる可能性がある。
ここで、年齢別のデータを用いると、35~39歳、55~59歳の強制貯蓄(可処分所得比)が相対的に大きい傾向が得られた。35~39歳は消費支出全体に対して外食が占める割合が大きく、55~59歳は旅行関連(交通、宿泊料)の割合が大きいことから、これらの世代はそれぞれのサービス消費の「消費機会の逸失」による影響が大きかったと考えられる。強制貯蓄を原資とした消費の復活では、「30代後半の外食」「50代後半の旅行」がテーマとなりそうだ。
コロナ禍が収束してくれば高額旅行が復活する
前者の課題になりそうなのが、マインドの回復である。消費者マインドの代表的な指数である消費者態度指数の構成要素のうち「収入の増え方」によると、コロナ前の2019年末と比べて30~39歳の回復が最も鈍い。マインドの低下は将来不安などを反映していると考えられ、予備的貯蓄のニーズを高める方向に作用するため、「30代後半の外食」が盛り上がるにはマインド改善がカギとなる。
後者の55~59歳などの比較的年齢が高い世代については、労働所得を獲得できる期間が限られているため潜在的な「長生きリスク」が消費を抑制する。この要因はすぐに解決する可能性は低いため、富裕層とそれ以外で動向が大きく変わりそうだ。「50代後半の旅行」は富裕層向けの高額商品ほど消費増が見込めそうだ。
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