日本の原発事業の知見・経験を生かし、海外での社会・環境貢献と商機開拓を--清水正孝・電気事業連合会新会長(東京電力社長)
われわれは原子力発電所の設備の建設から、運転保証まで、トータルとしての役割を担うことができる。相手国のニーズを踏まえながら、それにしっかりと応えていきたい。
しかし、ベトナムはまだ入り口にすぎない。将来、こうした案件を積み重ね、経験を積んだうえで、原子力事業者としてのプレゼンスを世界的に高めていく。それによって、アジアをはじめとする途上国に対するわれわれの貢献が認められ、その先にはもっと新しいビジネスチャンスがある、と描いている。
原子力発電に限らず、日本が世界的にも優れている高効率の石炭火力発電技術にしても、(低炭素化、燃料削減の技術を移転することで)環境貢献の形で海外展開のメリットを享受する方法もある。
CDM(クリーン開発メカニズム=途上国で温室効果ガスを追加的に削除するプロジェクトを実施し、その削減分を排出削減クレジットという形で先進国に還元する仕組み)などは、まさにわれわれがこれから目指すべき方向性だろう。
一方で、(東京電力が米国のサウステキサス原発プロジェクトに出資したような)アメリカでの取り組みは純粋なビジネスとしての判断であり、最初から収益性を追求している。その前提には技術力や知見がベースとしてあるが。アメリカのような成熟した国と、ベトナムのような国では取り組み方が自ずから違う。
もう1点、途上国については、インフラ整備、インフラ形成は生ものでかつ大型だ。当然、リスクは大きくそれをいかにヘッジするかが課題となる。民間で取り切れないリスクを、国が役割としてどのように担ってくれるものか、という点も詰めていく必要がある。
--スマートグリッドについては?
日本には、欧米や中国とは違う、日本型スマートグリッドというものがあるべきだというのがわれわれの考え。スマートグリッドといっても、国によってその狙いは違っている。