経験者が語る副業で得たお金以外の「3つのこと」 本業にプラスの影響を与えることも少なくない

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同じ小売りという領域でも、別の立場の仕事をすることにより、本業の仕事でも販売側の視点が持てるようになったわけだ。これによって、本業においてもモールを利用する販売者の売り上げを伸ばすことに意識が向くようになったという。

後者の例では、弊社で働きながら、副業でスタートアップ企業に勤めている人の例が挙げられる。職種自体は同じだが、本業は人材開発を手がける上場企業、副業は製造業のスタートアップと、まったく違う業種やフェーズでの仕事を経験している。これによって、短期的視点と長期的視点、まったく異なることを両輪で考える思考を身に付けたり、新しい視点やアイデア、人脈が生まれるのではないだろうか。

どちらの場合も、普通に会社勤めを続けていた場合、部署異動や転職をしないと得られない経験だが、ここに「副業」という要素を加えることにより、同じ職種や業界、あるいはまた別の職種や業界での経験値を、通常より早いペースで得られるわけだ。

よりパフォーマンスを意識するようになる

2つ目は、成果にコミットするようになることである。副業は、ほとんどが業務委託で仕事をすることになる。業務委託の仕事は成果を出さないと継続して契約をしてもらえず、仕事を失うことになる。言い換えれば、継続のために成果にコミットしてパフォーマンスを発揮しなければならない。

正社員でも、もちろん成果にコミットして仕事をしている人がほとんどだろうが、正社員の場合はパフォーマンスが芳しくなくても給料はもらえるし、仕事がなくなることもほぼない。副業を行っている人は成果にコミットすることを副業していない人より、あるいは、副業をしていなかった時より意識するようになり、本業でも同じ意識を持つようになるのではないだろうか。

3つ目は、マルチタスクのすべを身に付けられるようになることだ。副業をすると、複数の会社の複数のミッションを並行して担うことになり、マルチタスクが当たり前になってくる。

会社での仕事は、つねに短期目線と中長期目線の仕事が並行して走っている。例えば営業であれば、今月の受注のための仕事と、1年後の受注のために種まきをする仕事を両輪で回す必要があるが、これらは相反する活動になる。時間にはかぎりがあるため、両者に十分な時間を費やすことが難しく、ついつい短期目線の仕事に時間を使ってしまう人も多いだろう。

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