経験者が語る副業で得たお金以外の「3つのこと」 本業にプラスの影響を与えることも少なくない

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「営業を頑張っていたら、いずれは事業開発のポジションへ異動できる」と、目の前の仕事に全力を注いでいたが、実際働いてみると、配属された営業の世界と、希望していた事業開発のポジションは、全然違う世界だった。

営業に配属された人材のキャリアパスは、営業リーダー、営業マネジャー、営業部といった営業としてのキャリアパスであって、営業から事業開発や企画部門への異動は容易ではないという現実を、入社1~2年目にして思い知らされたとのこと。どうしても事業開発の仕事をしたくて、転職活動をした結果、ベンチャー企業から事業開発のポジションで内定をもらったが、家庭の事情で転職は叶わなかった。

しかし、事業開発の仕事は諦めることができない中、「会社の外で、自分のプライベートの時間ですればいいんだ」と思いつき、副業を実践することにしたという。

同氏は業務委託で働くという選択肢ではなく、自分でブログサイトを立ち上げて収益化するという、フリーランス同様の働き方だったが、この経験が本業で買われ、念願かなって、入社4年目に新規事業開発部門に異動となったそうだ。

経営者から見た「副業経験者」の強み

こうした副業を実践している人たちを見ていると、確実にスキルアップをしていると感じる。これによって、社内だけでなく、転職市場でも価値が上がるだろう。これこそ100年時代を生き抜く強い武器となりうる。

一方、経営者の立場から言うと、副業で得たスキルや経験を社内業務に活かしてくれる社員がいるのは喜ばしいことだ。中には「副業経験者は転職する可能性がある」と不安に思う経営者もいるに違いないが、私の知っている副業経験者は、現時点で本業の仕事を辞める気はなく、「自分のスキルアップや選択肢を増やすため」と口をそろえて言う。

「副業なんて自分には無理」と思っている人は少なくないが、本業にも役立つ経験値を早く積むためやスキルアップのため、と考えればハードルはそう高くないのではないだろうか。転職をするのは勇気がいるが、副業であれば本業を維持しながらできるメリットもある。新型コロナウイルスによって生き方や働き方の価値観が変わる中、副業はこれからの自分の未来図を描く足がかりになるかもしれない。

岡本 祥治 みらいワークス社長

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おかもと ながはる / Nagaharu Okamoto

1976年神奈川県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。アクセンチュア、ベンチャー企業を経て、47都道府県を旅する過程で「日本を元気にしたい」という思いが強くなり、起業を決意。2012年、みらいワークスを設立し、2017年にマザーズ上場を果たす。BS JAPAN 「人生が変わる人事の話」に人事の専門家として、20回以上出演。趣味は読書と焼肉と旅行。海外は93カ国以上に渡航。

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