リクシル瀬戸欣哉CEOが「創業家と闘った」理由 正しい意思決定ができるプロのインテグリティ

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すると瀬戸さんは、次のように答えました。「それはそうかもしれないけれど、リクシルは1兆数千億円の売り上げの会社だ。モノタロウはまだ250億円ぐらい。このまま行けば何年かで1000億にはなるだろうけれど、簡単には1兆円にはならない。1兆円超の会社を自分で経営してみるというチャンスは簡単には来ないから、リスクがあってもやる」「モノタロウのほうは、信頼できる後継者として鈴木(雅哉社長)がいるし」

「決めているなら僕に相談するなよ」と思ったけれど、瀬戸さんはそういう人です。難しい決断でも自分でできるから、本当に大事な決断を人にゆだねたりはしない。ただ、私は瀬戸さんが最初にリクシルに誘われたときも反対したから、おそらく今度も私が反対すると予想して、私の意見を聞いたのでしょう。それも含めて「自分は納得した」と瀬戸さん自身が確認するための会話だったような気がします。

創業家と対立、「理(ことわり)は君にある」

そして瀬戸さんがリクシルのCEOになって、数年後にCEOを解任されるという事件が起きました。メディアでも盛んに報道されましたが、そこで書かれていたことのかなりの部分は事実です。

瀬戸さんは創業家と決定的な経営の意見の相違があって解任されたのですが、創業家からは「指名委員会が君はCEOとして適任ではないと判断した」と説明されていたため、それを信じていました。記者会見で、

「指名委員会が不満だと言うのであれば、辞めるしかない」

と発言していたことからもわかるように、納得していた。ところが、指名委員会が瀬戸さんを解任させたがっているというのは事実ではなかったと判明します

創業家は、瀬戸さんには「指名委員会が君はCEOに適当ではないと言っている」と言い、ほかの人たちには「瀬戸さんがCEOを辞めると言ってきたので、それを認めました」と使い分けていた。

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