リクシル瀬戸欣哉CEOが「創業家と闘った」理由 正しい意思決定ができるプロのインテグリティ

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そのことがわかったとき、彼は私に、「これからCEOに戻る戦いをするつもりだが、どう思うか」と聞いてきました。

私は、「やるべきだと思う。理(ことわり)は君にある」と答えました。このままだと会社はもっと悪くなるし、残してきた社員にも悪い影響がある。つまり、義もある。

「起てばいいじゃないか。たとえ負けても」と私が言ったら、「負けないから、俺は」と答えたのが、いかにも瀬戸さんらしかった。

リクシルCEO復帰を後押しした「正しい意思決定」

彼の心の中ではさまざまな葛藤があったと思います。しかし他人の前ではそんな葛藤があることを彼は絶対に見せませんでした。

結局、彼は多くの人の応援を得て、CEOに復帰します。瀬戸さんを慕う母校の後輩や仕事で知り合った人たちも奔走しました。

応援をお願いした人の中には、「瀬戸さんが正しいと思うけれど、火中の栗を拾うことになるから協力できない」と言った有名な経営者も大勢います。

何人かの人は一度は承諾したけれど「家に帰って家人に相談したら反対された」とか、「現社長からやめてくれと言われた」などの口実で断ってきた。

しかし中には「瀬戸さんの言うことは正しい。だから味方をすることにした」という人もいました。そういう人の頭の中には、負けたらどうしようというような計算はなかったと思います。ブーズの日本代表だった西浦裕二さんもその一人です。「やらなければいけないことだから、やりましょう」というシンプルな意思決定ができたのは、インテグリティがあったからでしょう。

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