リクシル瀬戸欣哉CEOが「創業家と闘った」理由 正しい意思決定ができるプロのインテグリティ

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それと同時に、東京に残るなら1週間分の水と食料を確保すべしということになりましたが、その議論の過程でさらに、「買い占めに加担するのか」とまた議論。

このとき私が学んだことは、やはり自分も含めて日本人はリスクマネジメントというものが、わかっていないということでした。

われわれは情報がすっかり出揃ってから考えようとします。でもそのときにはもう遅いかもしれない。「今、損切りすればこれ以上の損失はない」と考えて決断することができない。

普段は代替案の利点と欠点を並べて、論理に徹して物事を判断しているような人たちなのに、非常に情緒的なことを判断基準に持ち込む。何を最も優先すべきかを明確にしないまま厳しい判断を避ける、先送りにする傾向があるということです。

これが日本社会、日本企業が変われない理由の一つなのだと思います。

プロ経営者・瀬戸欣哉氏のインテグリティ

大学入学時から40年以上の付き合いの親友であり、インテグリティのある経営者でもあるリクシルの瀬戸欣哉さんは、実を言うとリクシルからの誘いを一度は断っています。モノタロウの事業があったからです。それでもリクシルの側はあきらめず、再び誘ってきた。

私は瀬戸さんから相談を受けて、「絶対にやめたほうがいい」と言いました。

「リクシルは経営陣に創業家が残っている。そこでよそから連れてきた社長が成功したら疎まれる。何かうまくいかないことがあれば、君のせいにされる。いずれにしても、ろくなことはないからやめておけ」

次ページすると瀬戸さんは
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