債務問題の次に来る、欧州の大問題とは? みずほ銀行 エコノミスト唐鎌大輔氏に聞く
―― 今、欧州経済は平穏を取り戻し、通貨ユーロも安定しています。「債務問題」は峠を越えたのでしょうか?
かつてのようなパニックはない、という意味で峠は越えたのだと思います。欧州債務危機が取りざたされ始めた2009年末以降、ユーロ圏には分裂・崩壊・瓦解という仰々しい表現が飛び交い、通貨ユーロにも暴落予想がついて回っていました。
しかし、当時の不安をよそに、債務危機の発生から丸4年以上が経った今でも、ユーロは崩壊どころか、対円で安値より50%も値を上げています。これから考えるべき新しい問題は、なぜそのような動きになったのか、です。
――なぜ崩壊の可能性までささやかれた通貨の値動きが、堅調になったのでしょうか?
日本の円を思い出してください。「地力が疑わしいにもかかわらず通貨は堅調」というのは、これまでの日本の円にさんざんついて回ったテーマです。
そのことで、われわれ日本人は何度も痛い目に遭わされてきました。基本的にはユーロもそれと同じことが起きているのではないかと思っています。経済が力強さを取り戻したかといえば、決してそんなことはありません。
――唐鎌さんは「ユーロの円化」という言い方をされていますね。
ユーロには円と共通する特徴が多くあり、ユーロが円化している可能性が感じられます。重要なことは、ユーロがそうして円化している背景には、ユーロ圏の実体経済が日本化しているという事実があり、その結果として欧州中央銀行(ECB)も日銀化しているという事実があることです。