サッカー男子代表が「メダルを逃した」根本原因 露呈した課題をカタールW杯までに克服できるか

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2020年に協会が常設の欧州拠点を置き、各クラブとの関係を密にしたことも特筆すべき点だ。五輪というのはIMDではないため、クラブ側にしてみれば選手派遣義務はない。反町技術委員長が2008年に北京五輪代表を率いたときも、大久保嘉人(C大阪)を呼ぼうとして、当時所属のヴィッセル神戸に断られた過去がある。

しかしながら、自国開催の今回は金メダル獲得のために何としてもベストチームを作らなければいけない。それを達成するため、久保や堂安、冨安の所属クラブとの意思疎通を重ねて招集理解を取り付けた。加えて、24歳以上のオーバーエージ(OA)枠に吉田、酒井、遠藤航(シュツットガルト)というA代表の主力を呼ぶことにも成功。これも過去の五輪にはなかったことだ。

さらに付け加えると、千葉・幕張に高円宮記念JFA夢フィールドという代表活動拠点を2020年4月から稼働させ、最高の体制を作ってきた。今大会中もここをベースに活動し、選手たちは最高レベルのリカバリーやメディカルケアを受けることができた。それは他チームにはなかったこと。

もちろん酷暑で超過密日程の難しさはあったが、環境面やバブル方式への適応も含めて自国開催のメリットは大きかった。複数の代表OBが「今回、メダルを取れなければ永遠に取れない」といったコメントを残していたのも、あらゆる面の追い風があったからだ。

露呈した日本サッカー界最大の課題

そんなアドバンテージがありながら、日本はメダルを逃した。南アフリカ、メキシコ、フランスという強敵揃いの1次リーグを3戦全勝で1位通過した時点では、誰もが「イケる」と確信したはずだ。しかし、決勝トーナメント以降は思うようにはいかなかった。

7月31日のニュージーランドとの準々決勝は決め手を欠き、PK戦の末に辛くも勝ち上がるのが精一杯だった。8月3日の準決勝・スペイン戦も久保、堂安という得点源がゴールを奪えず、延長戦から切り札として投入された三好や前田らもビッグチャンスを逃した。

逆に相手は温存していたマルコ・アセンシオ(レアル・マドリード)に延長戦ラスト5分というところで決勝弾を決められた。「決めるところの差」という日本サッカー界最大の課題を露呈する形になったのだ。

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