和歌山が「モビリティ変革」の震源地となる理由

モビリティ産業不毛地帯で活躍するベンチャー

2016年に試作機が完成し、2017年にはクラウドファンディングで「glafitバイク」の初期モデルの量産を実現。こうした多額の投資を受けるベンチャーは和歌山では珍しい。

和歌山市では、起業や創業を支援するため、和歌山県や和歌山商工会議所などと連携した事業を展開したり、和歌山市チャレンジ新商品認定事業として市内の法人や個人が開発した優れた新商品を認定してPR等を支援したりしているが、そうした中でglafitは和歌山発の成功事例としてとても目立つ。

鳴海氏は「大阪に隣接していることもあり、県外に就職する人が多い土地柄だ」と、和歌山発の全国区ベンチャーが育ちにくい環境にある点を指摘した。

なぜ、国のサンドボックス制度に申請したのか?

glafitバイクを2017年11月に発売すると、「電池が切れても、走行区分がバイクだと扱いづらい」という声がユーザーから上がってきた。その解決策を模索するため、国に相談しようと思っていた矢先にサンドボックス制度のニュースに目が留まる。

東京で開催された第1回説明会にglafitのスタッフが参加したところ、規制緩和に向かう可能性を感じたため、和歌山市に相談。市として和歌山発ベンチャーを後押ししてくれることとなり、2019年10月に市長が連名で申請する形となった。

glafit本社内にある研究開発部門。販売店で対応できない修理もここで行っている(筆者撮影)

申請が通った後は、内閣官房の担当者とglafitの二人三脚で検証や実証を進めていったが、課題となったのは警察による“取り締まりに困らない方法”だった。そこで、走行区分の変化の表現方法として、さまざまなアイデアを形にしていった。

例えば、取り付け・取り外しができるタイプ、信号機のように点滅する色で示すタイプ、またサイネージによる文字表示のタイプなども考案したという。

最終的には、道路標識で使用されている自転車マークの表示が採用された。さらに、切り替え動作についても、悪用しづらい点などを考慮して、停止した状態で主電源を落とさなければ切り替えスイッチが作動しないシステムとした。

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